「A8」と「Exynos 5430」を比較――性能/機能のApple、消費電力/コストのサムスン:同じ20nmプロセスだけど異なる思惑(2/2 ページ)
Appleの「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」に搭載されるプロセッサ「A8」とSamsung Electronicsが「GALAXY Alpha」に搭載するプロセッサ「Exynos 5430」は、20nmプロセスを採用したデバイスであり、2014年9月に発売される端末から搭載が始まるという点で共通する。しかし、デバイスの中身をみると、両社の思惑の違いが見え隠れする。
GPUも強化された「A8」
GPUの性能向上は、GPUクラスタの性能を50%高めたことによって実現したといえる。A7は、4つのシェーダークラスタを備えた、Imagination Technologies Group(IMG)のGPUコア「PowerVR Series6」(コードネーム:Rogue)を搭載している。性能を50%高められた直接の要因としては、シェーダークラスタの数を50%増やしたことが挙げられる。またAppleは、A8のイメージ処理機能も一部向上させたとしている。
20nmの歩留まりは?
20nmプロセス技術を適用したウエハーの品質には、まだばらつきがある。Samsungによると、同社の20nmプロセス技術は社内専用のものであり、社外向けには使用しないという。AppleのA8の製造に関しては、SamsungかTSMC、または両社が担うことになるのか、まだ分かっていない。AppleとSamsungはいずれも、既に自社の最新スマートフォン向けSoCに20nmプロセス技術を適用しているが、Qualcomm(クアルコム)の20nmプロセス適用の新型プロセッサ「Snapdragon 810」および「Snapdragon 808」については、出荷開始時期が2015年前半以降になる予定だという。
Appleは、20nmプロセス技術を適用し、トランジスタを10億個追加することによって、新型iPhoneの大幅な性能向上を実現した。一方Samsungは、ARMの64ビットCPUアーキテクチャ「ARM v8」への移行を見送ってまで、消費電力量の低減とダイサイズの縮小に力を注いだようだ。
競合との争い激化で、コスト重視か
Samsungは、世界各国で大規模に製品を展開していることから、MediaTekやQualcommなどのメーカー各社と競合するために、コストの削減に力を入れたのだろう。一方Appleは、ダイの性能/機能の向上に積極的に取り組んだ。しかし両社とも、旧世代の製品からアーキテクチャを大幅に変更してはいない。さらなる大きな変化が見込まれるのは、16nm/14nm世代のFinFETプロセスが実現してからのことになるだろう。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
関連キーワード
Apple | 20nmプロセス | Samsung | 性能 | Exynos | プロセス技術(エレクトロニクス) | GPU | iPhone | CPU | 電力 | トランジスタ | GALAXY Alpha | iPhone 6 | ARM | 消費電力 | スマートフォン | Apple A8 | クラスタ | QUALCOMM(クアルコム) | 28nmプロセス | 64ビット | Cortex | Imagination Technologies | Intel | iPhone 6 Plus | 長寿命 | スマートフォン対応 | Snapdragon | 14nmプロセス | iPhone 5s | 次世代iPhone | LTE(Long Term Evolution) | LTE Advanced | MediaTek | 新機能 | 省電力 | TSMC
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Apple Watchを考える――4つの好ましい点、3つの気になる点
「iPhone 6」とともに発表された「Apple Watch」は、早くも消費者の心をつかんだようだ。発売までにどこまで改良されるかは分からないが、現時点で、好ましい点と気になる点をいくつか挙げてみたい。 - Appleの「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」、NFC決済システムでは“プライバシーを優先”
Appleが「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」を発表した。ディスプレイは、かねてうわさされていた通り、iPhone 6が4.7インチ、iPhone 6 Plusが5.5インチと大きくなっている。プロセッサは64ビットの「A8」、コプロセッサとして「M8」を搭載している。さらに、NFCによる新決済システム「Apple Pay」も発表された。