センサーやアクチュエータ周辺技術の開発に注力、ADIデザインセンター:ビジネスニュース 企業動向
アナログ・デバイセズ(ADI)は、日本デザインセンターにおいて、これまでの民生電子機器向けに加えて、産業機器や自動車向けのセンサーやアクチュエータ関連のASSP/ASIC開発に注力する。また、ローパワー技術やデータコンバータ/アンプの技術開発を加速していくために、必要となるエンジニアを増強していく。
アナログ・デバイセズ(ADI)は2014年9月25日、日本デザインセンターの事業戦略について説明会を行った。これまでの民生電子機器向けに加えて、産業機器や自動車向けのセンサーやアクチュエータ関連のASSP/ASIC開発に注力していく方針だ。日本のデザインセンターには現在、約20人の技術者が在籍するが、引き続きローパワー技術やデータコンバータ/アンプ技術の開発を加速していくために、必要となるエンジニアを増強していく考えである。
ADIは、米国やアイルランドなど事業部門と直結した開発拠点の他に、デザインセンターを東京や上海、北京、インド・バンガローなど数十カ所に設置している。これらのデザインセンターでは、地域のニーズに密着した半導体デバイスの開発を行っている。日本でもこれまでデザインセンターを配置し、顧客のニーズに応えるためのデバイス開発を行ってきた。しかも、日本のエンジニアが開発に関わった研究成果がISSCCで採択されるなど、その技術レベルは高い。
日本デザインセンターのディレクタを務める篠崎博人氏は、「日本にはADIをリードするエキスパートがいるため、顧客の技術者とも、高い技術レベルで直接ディスカッションしたり、サポートしたりすることができる。このため、顧客から絶大なる信頼を得ている」と話す。
ADIは、注力する開発分野として「センサー&アクチュエータ周辺技術」を挙げる。篠崎氏によれば、「回路設計者の8割以上はセンサー&アクチュエータ関連の開発を担当している」という。その一例として、高効率D級アンプやアクチュエータIC、角加速度測定用ジャイロセンサー、近接センサー用のフロントエンドICなど、日本で開発中の試作品についてデモを交えて紹介した。
技術者の増強も継続的に行う。2014年2月に行われた同社の2014年度(2014年10月)事業方針説明会では、日本法人の会長兼社長を務める馬渡修氏が、「今後5年間で20%の増員を予定している」と、日本デザインセンターにおける人員の増強を明らかにしている。
しかも同社は、インターンシップ制度を導入している。新卒の優れた人材を確保するためだ。2014年は3人をインターンとして採用した。北海道大学、広島大学、東京大学でアナログ集積回路を専攻する学生が、今夏に集積回路設計の実務をデザインセンターで経験した。篠崎氏は、「日本デザインセンターにいる技術者の約3割がインターン経験者で、過去5年間で3人のインターン経験者を採用した」という。アナログ技術で競合メーカーと差異化していくために、「優秀な人材を獲得し、10年単位で人材を育成していく」という、同社の企業文化が日本のデザインセンターにも受け継がれている。
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