成長4分野に集中――戦略の明確化で拡大目指すIDT:日本アイ・ディ・ティ 社長 迫間幸介氏(2/2 ページ)
Integrated Device technology(IDT)は、2014年から新たな経営戦略を掲げて、事業成長を目指している。クロックICなど汎用品中心の事業体制から、成長市場/分野に対し、ソリューション型ビジネスも展開できる事業体制へと変わりつつある。2014年8月に日本法人 社長に就任した迫間幸介氏に新たなIDTの戦略などについて聞いた。
カスタマイズ力を生かしたソリューション
EETJ ソリューション型のビジネスとはどのようなものでしょうか。
迫間氏 IDTの特長として、アナログ/デジタル系のIPが充実しており、顧客ごとの要求に応えるカスタマイズ製品を提供しやすい体制が整っていることがある。現経営陣もカスタム品の展開を強化したいという方針を打ち出しており、社内にはASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)ならぬ、CSIC(Customer Specific Integrated Circuit:特定顧客向け集積回路)という言葉があるほどだ。
幅広い用途に提供し、より汎用性の強いタイミング製品でも、プログラミングによってあらゆるクロックを供給できる「VersaClock 5」など顧客要求に応えられる機能で、差異化を実現し、高いシェアを有している。またPMICでも、必要な電流量に応じて、Distributed Power Unit(DPU)と呼ぶ拡張デバイスを追加するだけで、5A単位で拡張できるシステムパワーソリューションを提供しており、多くのニーズに応えられる製品で好調にシェアを獲得できている。
人員増強、代理店との連携強化も
EETJ ソリューション型のビジネスでは、よりハイレベルな営業体制が求められます。
迫間氏 現在、日本でのカスタマイズサポートを強化するための人員増強を行っている。特にFAEを強化し、顧客と密にコミュニケーションを図りながら、製品設計側に要求を伝え、迅速にカスタム品を提供できる体制をより強化していきたい。
一方で、汎用的なタイミング製品などは、代理店の営業網を強化するとともにWebを使ったマーケティングも強めていく予定だ。
EETJ 全社売り上げに占める日本市場での売り上げ比率は8%と若干低めです。これからの日本市場での目標をお聞かせください。
迫間氏 目標は今以上に、売り上げを伸ばすことであり、日本市場の売り上げ比率も今以上に高めたい。4分野への集中などIDTには大きなポテンシャルがある。通信インフラやサーバ市場などは、個人的にも熟知している市場であり着実にビジネス規模を拡大したい。そこにパワーマネジメントなどのビジネスを上積みすることで成長を実現する。
地道に車載など新規市場開拓へ
EETJ 車載市場への取り組みの予定は。
迫間氏 将来の本格的な参入に向けて準備を進めているところだ。車載市場で求められる品質やサポートの水準を満たすよう、全社的に体制を整えつつある。
現在、車載市場以外にもさまざまな新規市場を開拓しようとしている。特に、無線給電用ICは、家具メーカーや飲食店などこれまで全く接点がなかった業界へ売り込むことができる製品。販売代理店とも連携しながら、地道に新しい顧客を探していく。
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