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スマホに応用可能な点字ディスプレイ――カーボンナノチューブで試作BioJapan 2014

産業技術総合研究所は「BioJapan 2014」で、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた薄型のアクチュエータで作成した点字ディスプレイを展示した。スマートフォンに挿し込んで使うといった用途も検討している。

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 産業技術総合研究所(産総研)は「BioJapan 2014」(2014年10月15〜17日)で、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた薄型のアクチュエータで作成した点字ディスプレイを展示した。端子を付けてスマートフォンに挿し込み、スマートフォンの画面の一部を点字として表示する、といった用途を考えているという。点字の大きさは規格で決まっているため、表示する文字数はどうしても限られてしまうが、例えば、スマートフォンの音声を出せないような場所でも災害情報や緊急ニュースなどの要約を表示して確認できるといったことが可能になる。

左=点字ディスプレイの試作品。6点式点字が、6文字並んでいるので、CNTアクチュエータは36個搭載されている。右=CNTアクチュエータを用いたマイクロピペット。黒い部分がCNTアクチュエータ(クリックで拡大)

 産総研は、厚さがわずか0.1mmのCNTアクチュエータの実用化を目指している。このアクチュエータは、イオン液体+樹脂から成る電解質を、イオン液体+樹脂+CNTから成る電極で挟み込むという3層構造になっている。1.5Vの低電圧で大きく変形するので、乾電池1本で駆動できることが最大の特長だ。

左=カーボンナノチューブを用いたアクチュエータの構造。右=3Vをかけた場合の曲がり方(クリックで拡大)

 産総研が出品した点字ディスプレイは、点字の各点を1個のCNTアクチュエータが押し上げることで、点字を作り出す仕組みになっている。日本で一般的に使われている6点式点字では、1文字につき6個のCNTアクチュエータを用いることになる。「点字ディスプレイには、とにかく薄くて低電圧で駆動できるアクチュエータが必要。精度でいえばピエゾアクチュエータの方が高いが、高い電圧が必要になるというデメリットがある」(産総研)。

 その他の用途として、医療用の使い捨てマイクロピペットも展示した。CNTアクチュエータを2枚用いる。1枚に電圧をかけ、アクチュエータが曲がる(たわむ)時に液体を吸い上げる。電圧をゼロに戻すとたわみが戻って液体を押し出す仕組み。

 産総研は、「CNTアクチュエータの製造や加工自体はそれほど難しくない。大量生産できる用途さえ見つかれば安価に提供することが可能になると思う」と述べている。

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