“スマートファクトリ”の実現の先導役に――TIの産業用半導体事業戦略:ビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)
テキサス・インスツルメンツ(TI)は、産業システム向け半導体事業に対する取り組みを強化する。アナログICと組み込みプロセッシング製品を中心に、高いエネルギー効率や新機能を実現していくための半導体製品と、開発期間の短縮を可能とするリファレンスデザインの提供に力を入れる。
リファレンス1500種、ノート5000種超
同社が強みというリファレンスデザインについては、電源回路設計などを中心に1500種類を超える事例が用意されている。特に産業用サブシステム向けは860種類と豊富だ。アプリケーションノートについても5000種類を超えている。さらに、サポート体制については、自社のFAEによるサポートに加え、E2E(エンジニアツーエンジニア)フォーラムと呼ぶオンラインコミュニティーも活用することができる。日本では、国内11か所の拠点にFAEなどのサポートチームが常駐して、顧客対応を行っているという。
産業システム向けにTIが供給している製品は、アナログICや組み込み製品を中心に、10万品種を超えている。また、毎年500品種以上の新製品が追加されているという。具体的な製品としては電源IC、A-D/D-Aコンバータ、マイクロコントローラ、温度センサーICなどである。これらアナログICや組み込み製品は、TIの全売上高のうち82%を占める主力事業である。このうち「産業システム向けの比率は24%」だという。
説明会では、産業システムに向けた主要アナログIC製品の概要を紹介した。センサー製品として、非接触型赤外線温度センサー「TMP007」や周辺光センサー「OPT3001」、温湿度センサー「HDC1000」、静電容量センサー「FDC1004」を挙げた。データコンバータ製品では、小型化を実現した12ビットSAR A-Dコンバータ「ADS7042」を始め、「ADS8354」や「ADC3kファミリ」などを新たに追加した。また、電源管理ICでは非絶縁型AC-DCコンバータ向け高電圧スイッチャ製品「UCC28880」や、ウェアラブル機器向けの充電IC「bq25100」とDC-DCコンバータモジュール「TPS82740」などを新たに用意した。
「Bluetooth Smart対応マイコン」や「産業用イーサネット対応プロセッサ」
組み込み製品としては、産業用マイクロコントローラ「MSP430i20xx」や、産業用Bluetooth Smartワイヤレスマイコン「CC2540T」、産業用イーサネットプロトコルを内蔵のハードウェアアクセラレータでサポートする産業用プロセッサ「AM5K2Ex」と「AM437x」などを用意している。
MSP430i20xxは、これまで20年以上も先行してきた低消費電力マイコンのシリーズである。4個の24ビットΣΔ型A-Dコンバータなど、高機能なアナログ回路ブロックを統合している。CC2540Tは、動作温度範囲を−40〜125℃に拡張した製品。マイクロコントローラ機能、RF機能およびフラッシュメモリブロックを1チップに集積している。産業用プロセッサは、「EtherCAT」や「PROFINET」、「SERCOS III」、「EtherNET/IP」など主要な産業用イーサネットプロトコルに対応した製品である。
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