IoTとビッグデータでストレージ要件は変わる?:ビジネスニュース 業界動向
モノのインターネット(IoT)は、大量のデータが生成される世界だ。あらゆる端末から集められたデータは、ストレージ要件にどう影響するのだろうか。
ビッグデータが、ITインフラに圧力をかけ始めている。SNSや商電子取引、大量のモバイル機器などからのデジタル情報が流入しているためだ。モノのインターネット(IoT)が進化し、ウェアラブル機器が台頭しつつある現在、メモリやストレージに対する圧力はどうなのだろうか。
IoTデバイスやウェアラブル機器などの新型デバイスには、電力や性能、フォームファクタに対するメモリ/データストレージに関して、独自の要件がある。こうした新しい機器は、取得したデータをクラウドやデータセンターに伝送するだけのものも多い。
米国の市場調査会社であるIHSでアナリストを務めるCliff Leimbach氏は、「IoTでは、センサーやコンピュータからスマートフォンまで、幅広い機器にメモリが搭載されることになる」と述べる。IoTでは、インターネットに接続してデータを共有するための手法が大幅に簡素化されている。「単にデータを送るだけなら、必要なメモリ容量はそれほど多くない」(同氏)。
Leimbach氏によると、DRAM市場は今後も、年間成長率30%で着実に拡大し続ける見込みだという。タブレット端末は、過去5年間で爆発的な成長を遂げてきたが、DRAM出荷量(ビット換算)全体に占めるタブレット端末向けの割合はわずか6%にすぎない。同氏は、「大量のDRAMを使用しなければ、DRAM市場に大きな影響を及ぼすことはない」(同氏)。
NAND型フラッシュメモリも、保存する必要のあるデータ量に応じて要件が決定されるという点で、IoT機器による影響を受けるといえる。もし、収集したデータを伝送するために一時的に保存する役割をセンサーが担う場合、ストレージ要件は最小限に抑えられるだろう。
ただし、ビッグデータは、IoTまたは他のソースから生成されたかどうかに関係なく、サーバ側のDRAMに非常に大きな影響を及ぼす。サーバは、より大きな処理能力によってデータを処理しなければならず、SSDなどのさらに高速な記憶媒体を必要とする場合もある。一方で米国の市場調査会社であるEnterprise Strategy Groupでアナリストを務めるMark Peters氏は、「ビッグデータがどこで生成されたのかについてはそれほど重要ではない。IoTの登場により、データストレージの選択肢が変わることはないだろう」と述べる。
データで“何をしたいのか”
ただし、IoTによって生成されたデータで何をしたいのかによって、より高速のストレージに投資するか否かを決断する必要はあるようだ。
Peters氏は、高速のストレージが必要な事例を挙げた。例えば、料金所にセンサーを取り付けて自動車からの排気ガス量をモニタリングする場合、それほど高速な処理は必要ない。だが、約300m離れた盗難車からのアラートを検知する場合、データは高速で処理されなければ致命的になる。
Peters氏は、「IoTとストレージに直接的な関係はない。IoTの用途やデータ容量の増加といったことではなく、“データを使って何がしたいのか”が重要になる」と説明した。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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