“半導体大国”狙う中国の野望(前編):ビジネスニュース 業界動向
半導体産業の活性化に注力する中国は、順調に施策を進めているようだ。TSMCのチェアマンであるMorris Chang氏は、「あと5年もすれば中国のファウンドリ業界は台湾に追い付く」との見解を示している。
中国は過去20年近く、半導体産業を基幹産業の1つにするよう目指してきた。EE Timesが複数のエグゼクティブやアナリストに調査したところ、この目標は今後10年のうちに実現する可能性があるという。
中国のこの目標は、中国が、Appleの「iPhone」や「iPad」などのモバイル機器を組み立てるのに用いる半導体のうち90%以上を輸入していることからきている。同国のチップ輸入価額は石油の輸入価額を上回る1600億米ドル以上に達する。
2020年までにCAGRを20%に
市場コンサルティング会社のMcKinsey & Co.による2014年のリポートによると、中国政府は今後5〜10年間で国内チップ産業に最大1兆人民元(約19兆円)の資金を投入し、2020年までに同産業の年複利成長率(CAGR: compound annual growth rate)を20%にすることを目指している。数年間の失敗を経て、中国の産業は今や世界の生産活動の伸びを先導するほどに成長した。
IC InsightsのプレジデントであるBill McClean氏は、「中国のチップ生産は今後、IC市場全体よりもずっと速いペースで成長するだろう。政府によるプログラムとインセンティブがその成長を後押しするとみられる」と述べた。
このような予想は、世界チップ生産の約1/3を占める台湾のチップ産業にとって激しい議論を巻き起こす問題となっている。台湾政府は潜在的なライバルである中国に雇用や技術を奪われる恐れから、台湾の半導体企業による中国での投資を制限している。
台湾の懸念
台湾出身の業界エグゼクティブらは10年以上前に、世界最大のエレクトロニクス市場への参入を目指して中国にSemiconductor Manufacturing International Corporation(SMIC)とShanghai Huahong Grace Semiconductor Manufacturingを設立した。現時点では、中国のファウンドリは世界市場の約半分を占めるTSMCのビジネスを大きく奪うことはできておらず、今や中国最大のファウンドリとなったSMICのシェアも5%にとどまる。
だが、Credit Suisseの台北拠点でアナリストを務めるRandy Abrams氏によると、SMICは今後の成長が見込まれるという。
Abrams氏は「中国のファウンドリは政府のインセンティブや設備助成金、合弁企業による投資などを利用し、地方自治体やそこを製造拠点にしている外資系サプライヤと資本支出を共有している。例えば、QualcommとSMICもそれに当たる(関連記事:中国SMICとクアルコムが協業、両社にとっての利点は?)。
TSMCのチェアマンであるMorris Chang氏は、「中国の半導体業界は、あと5年もすれば台湾に追い付くだろう」との見解を明らかにしている。
TSMCは、これをチャンスと脅威の両方にとらえているようだ。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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