次世代「Google Glass」にはIntel x86プロセッサが載る?:現在はTIのARMプロセッサ「OMAP」
次世代版「Google Glass」には、Intelのx86プロセッサが搭載される可能性があるという。もしこれが事実であれば、Intelにとって、ウェアラブル機器市場での存在感を高める大きな足掛かりとなるだろう。
The Wall Street Journalによると、次世代版「Google Glass」ではGoogleとIntelがタッグを組むらしい。
第1世代のGoogle Glassには、Texas Instruments(TI)のARMベースのプロセッサ「OMAP 4430」が搭載されている。これに対し、次世代版には、Intelのx86プロセッサが搭載される可能性があるという。GoogleとIntelは、x86プロセッサの搭載について正式なコメントは出していない。ただ、Intelが、2013年にBrian Krzanich氏をCEO(最高経営責任者)に迎えて以来、ウェアラブル端末とIoT(モノのインターネット)市場に狙いを定め、積極的な取り組みを進めているのは確かだ。
ウェアラブル市場を狙うIntel
米国の市場調査会社であるMoor Insights & Strategyでアナリストを務めるPatrick Moorhead氏は、EE Timesに対して「Intelは、何としてもウェアラブル/IoT市場に参入したいはずだ。Googleにとって、IntelのアーキテクチャにはARMよりも魅力的な何かがあったと思われる」と述べている。
Moorhead氏は、Google Glassの低消費電力・高性能といったニーズに合うのは、Intelの切手サイズの小型コンピュータ「Edison」とx86 SoC「Quark」なのではないかと推測する。同氏は、「小型のEdisonは、スタイリッシュなフレームに適している。“洗練された形”というのは、Google Glassが人気を得るためには大きな鍵となる」と語る。Intelは2014年3月に健康管理用ウェアラブル端末「Basis」を手掛ける米国のBASIS Scienceを買収するなど、ウェアラブル市場に参入する準備を着々と進めてきた。
米国の市場調査会社であるEnvisioneering Groupでリサーチディレクタを務めるRichard Doherty氏は、「IntelとGoogleは、Webブラウジングの最適化や、x86プロセッサとAndroidの関係強化といった面で、緊密な関係を構築している。Google Glassへの採用は、Intelにとってウェアラブル市場への大きな足掛かりとなる。Google Glassが成功するか否かは、Intelにとってあまり問題ではない」と述べている。
「Google Glass」は、まだ成功には至っていない
Doherty氏は、「このうわさが事実であれば、Intelは価値ある勝利を手にしたことになる。ただし、x86プロセッサであれARMプロセッサであれ、Google Glassに採用されたことで需要が増加するかどうかは分からない」と指摘する。
業界では、Google Glassの人気がいつまで続くかを疑問視する声もあるからだ。Doherty氏とMoorhead氏は、「Google Glassは格好悪い」「主に左目を使うユーザーには使いにくい」といった声には意義を唱える。
Doherty氏は、「さまざまな挑戦や試行錯誤を繰り返す中で、1つか2つの成功が生まれ、数多くの新製品の誕生につながることもある。(Google Glassでは)まだそれが実現していないだけだ」。
Moorhead氏は、「Google Glassはスマートグラスのパイオニアとして新製品好きのユーザに受け入れられたが、それ以上の成功には至っていない。その要因は同社のマーケティング戦略にある。緊急救命室(ER)のスタッフやメカニックのように日常的に複数のスクリーンを使って作業するユーザー向けのアプリケーションの開発にもっと投資すべきだ」と指摘している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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