日本の隠れた半導体優良企業「メガチップス」(後編):“フルターンキーサービス”の提供に注力(2/2 ページ)
積極的にM&Aを行う日本のファブレス半導体企業メガチップス。その背景には、チップ設計から製造、組み立て、品質管理までフルカバーの“ターンキーサービス”を提供したいという考えがあるからだ。
中国市場を見据える
メガチップスの成長戦略は、中国市場も明確に見据えている。
メガチップスが、台湾にある子会社を経由してModiotekの株式を多数、獲得したことは、中国でのビジネスを成功させるための重要な一歩だ。「われわれは100人の部隊を獲得しつつあり、その大半がソフトウエアとアルゴリズムに強く、フィールドアプリケーション技術者としても働いた技術者やチップ設計者だ。XiaomiやLenovoあるいはFoxconnのような中国の顧客と協業したいと考えているので、中国語で顧客と折衝し、支援することのできる自社要員が必要だ」(高田氏)。
frizzについても、メガチップスは、1年半以上前からエンジニアリングサンプルを用意し、中国のスマートフォンベンダーや通信事業者あるいは地図製作会社などと組んでチップ試験を行い、アプリケーションを開拓してきた。
目指すは第2のMediaTekか
メガチップスは、匿名に甘んじ、顧客の設計部隊の影に隠れてきた。この点は劇的に変化しようとしている。
メガチップスは、顧客にチップからシステム、サービスまでを含む本物のターンキーソリューションを提供できるよう、IDMとしての視点を持って、センサーハブ市場に参入する構えなのである。
メガチップスの戦略は、台湾MediaTekのシナリオと大きくは違わない。MediaTekが2000年代初期に、まだ未熟だった中国の民生機器メーカーにDVDプレーヤ事業への参入を根気強く推進したのは、MediaTekの長期視点に基づくものだった。同社は、中国の偽造DVDからの劣化したビデオ信号を補正するLSIを開発している。MediaTekは、市場と顧客、さらには用途を熟知していたのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日本の隠れた半導体優良企業「メガチップス」(前編)
世界のファブレスチップメーカーのトップ25に入る、唯一の日本メーカーがメガチップスだ。同社は決断力と実行力に優れ、積極的にM&Aも行っている。知る人ぞ知る、隠れた優良企業であるといえるだろう。 - 2014年の半導体市場は好調な滑り出し、売上高は260億ドル超
SIAの発表によると、2014年1月における世界半導体売上高は262億8000万米ドルに達した。1月の売上高としては過去最高だという。2013年1月に比べて8.8%増加していて、この増加率は過去3年間で最も高いという。 - “中国=設計者”の新たな図式から見える、半導体業界の2つのキーワード
中国は半導体の消費地として市場規模が大きい。これはもう言い尽くされている。しかし今や中国は半導体の単なる“消費者”ではない。“設計者”としての新たな側面に注目すべきだ。その見地に立つと、「デザインレス」、「ソフトウェアエンジニア」というキーワードが浮かび上がる。日本の半導体業界が勢いを取り戻すヒントも見えてくる。 - Intelが中国に15億米ドルを投じる4つの理由
Intelは、中国Tsinghua UniGroupに15億米ドルを投じることを明らかにした。何としても自国の半導体産業を発展させたい中国と、中国でモバイル機器関連のビジネスを拡大したいIntelの思惑が合致したのである。 - 中国の半導体企業が“TI”になれない7つの理由
中国は、規模、創造性、影響力において、米国の大手半導体メーカーTexas Instruments(TI)に匹敵する企業を生み出すことができるだろうか。これまでのところ、その気配はなかった。中国の半導体企業の現状を考えれば、今後もその可能性は低いと思われる。