日本から世界に発信し続ける“強いTEジャパン”を目指す:タイコ エレクトロニクス ジャパン 社長 上野康之氏(2/2 ページ)
2015年1月1日付で、タイコ エレクトロニクス ジャパン(以下、TEジャパン)の社長に上野康之氏が就任した。「“強いTEジャパン”として存在価値を示したい」という同氏にインタビューした。
日本のアイデンティティーを示せた
――稼働から1年あまりが経過した掛川工場の現状はいかがですか。
上野氏 2014年に開発エンジニアも掛川工場へシフトさせるなどし、開発から生産までの一貫体制が構築でき、さらなる開発リードタイムの短縮、開発コストの低減が狙える状況になった。さらに、当初、3年ほど掛かっても仕方がないと思っていたフル稼働生産も1年で実現でき、大成功を収めたといえる。TE Connectivityグローバルとしても過去例にないほど、短い期間で高い品質の工場を立ち上げたと評価されており、日本の存在感、日本のアイデンティティーを示すことができた。
掛川工場は、新たな試みとしてトヨタ生産方式を取り入れ、効率の良い生産体制を目指している。その結果、生産後、2時間以内に工場から出荷するようなジャストインタイムの生産が実現できている。今後はさらにその上を目指して、1時間以内に工場から出荷できるようなより高度なレベルでの効率的な生産、フレキシビリティな生産が行える体制の構築を目指していく。
2014年「良い1年だった」
――昨今の業績に関して教えてください。
上野氏 2014年は、グローバル売上高で前年比5%の増収、日本に限れば、売上高は前年比7%の成長を実現し、良い1年だったと思う。自動車向けを筆頭に、産業機器向け、家電向けそれぞれで伸びた。
――好調の要因はどのように分析されていますか。
上野氏 重点を置いてきたソリューション提案型ビジネスが功を奏しているだろう。自動車で言えば、HEV/EVや車載通信分野などへのソリューション提案に注力し新しいアプリケーションを獲得できた。自動車以外の分野でも同様に、新しいアプリケーションに対して、デバイスを組み合わせたようなシステムレベルのソリューション提案で取り込むことができたと思っている。
今後も、2014年に買収した米メジャメント・スペシャリティーズのセンサー製品などを含めて、接続部品/コネクタをシステムとして提案する形を増やしていく。
2015年も成長を維持する
――2015年の業績見通しをお聞かせください。
上野氏 グローバルでは2014年比約3〜7%の売り上げ伸長を見込んでおり、TEジャパンとしても同様の売り上げ成長を目指したい。
ただ、自動車に関しては、生産台数自体は減少する見通しで、2014年好調だった家電なども反動が見込まれ、市場的には2014年よりも厳しくなるだろう。その中で、市場平均を上回って成長を達成したいと思っている。
――2015年の注力ビジネスはどのようなものですか。
上野氏 まずは、自動車で伸びている部分に対して継続的にソリューション提案を行っていく。HEV、EV、さらには燃料電池車に向けた製品開発を行い、自動運転などADAS(先進運転支援システム)などでセンシングシステムも増えていく見通しで、センサーそのものや対応したコネクタを開発、投入していく。
産業機器や家電向けビジネスについては、販売代理店を含めて、顧客と密な関係を構築し着実に、ビジネスを広げていきたいと考えている。
上野 康之(うえの やすゆき)氏
1983年にTEジャパンの前身である日本エー・エム・ピーに入社。1999年自動車本部関東営業統括部統括部長、2005年自動車本部長、2007年自動車事業本部長。2012年に副社長兼自動車事業本部ゼネラルマネージャー/職務執行者に就任。社長就任後も自動車事業本部ゼネラルマネージャー/職務執行者を兼務する。58歳。神奈川県出身。
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