ドライバーの眠気を脈波で感知、デジタコとの連携で交通事故を防ぐ:センシング技術
富士通は、ドライバーの眠気を脈波で感知するウェアラブルセンサーを発表した。耳に装着し、眠気を検知するとアラートが出る仕組み。運行管理システムと連携させることで、運行管理者がドライバーの状態をリアルタイムで確認することができるようになる。
富士通は2015年1月19日、ドライバーの脈波から眠気の傾向を検知し、ドライバーや運行管理者に対し、安全運転を支援するウェアラブルセンサー「FUJITSU Vehicle ICT FEELythm(フィーリズム、以下、FEELythm)」を開発したと発表した。2015年2月より、運輸業向けに販売を開始する。価格は要問い合わせ。なお、本体価格の他に、導入費用や保守費用が別途必要になる。今後3年間で7万台の販売を目指す。
FEELythmは、ドライバーの耳に装着したセンサーで検知した脈波情報などから眠気を検知するという、富士通研究所が開発した技術を採用したもの。眠気を検知すると、本人や運行管理者にアラートを出すことができる。デジタルタコメーター(デジタコ)など車載機器と接続し、運行管理システムと連携させることで、運行管理者がドライバーの状態をリアルタイムに確認することができるようになるという。
FEELythmは、本体を首にかけ、イヤークリップセンサーを耳に装着して使用する。本体の重さは90g。長距離運転も想定し、5日間の連続使用が可能な電池を搭載している(1日の運転時間の限度を9時間とする)。自動でキャリブレ―ションを行うので、より高い精度で眠気を感知できるという。
富士通によれば、近年の交通事故は、運転意思や技能によらないヒューマンエラーが全体の約67%を占めるという*)。この状況を改善するために、法令改正や国土交通省による安全運行に関わる機器の導入支援も始まっている。富士通はこうした背景を受け、バス、トラック、タクシーなどで使用できるFEELythmを開発した。
*)出典:警察庁「平成25年中の交通事故の発生状況」
将来的には、疲労やストレス、緊張状態などの検知データを蓄積し、ハザードマップに適用することで、事前に危険予測を行い運輸安全マネジメントの向上につなげていくとしている。
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