UltraScaleの消費電力、7シリーズ比で約40%削減:X-fest 2015リポート
ザイリンクスは、FPGA技術セミナー「X-Fest 2015」(アヴネット主催)の展示会場で、「Kintex UltraScale」と「Kintex-7」の消費電力比較のデモ展示を行った。アーキテクチャの見直しなどから、UltraScaleは、7シリーズに比べて消費電力を約40%削減することができる。
ザイリンクスは、2015年1月に東京都内で開催されたFPGA技術セミナー「X-Fest 2015」(アヴネット主催)の展示会場で、「Kintex UltraScale」と「Kintex-7」の消費電力比較のデモ展示を行った。アーキテクチャの見直しなどから、UltraScaleは、7シリーズに比べて消費電力を約40%削減することができるという。
UltraScaleは、最先端のASICクロック手法を用いることで、従来のFPGAが抱えていた内部接続速度の課題を解消するなど、ASICクラスのシステム性能を実現する最新のFPGAである。
消費電力を低減するハードウェア的な工夫なども行っている。例えば、20nmプロセス技術で製造されるKintex UltraScaleは、1.2V動作DDR4メモリへの対応により、DDR3メモリ対応のKintex-7に比べて、39%の消費電力を削減できるという。また、I/O電圧も従来の2.5Vから2.2Vに下げた。この他、DSP部で39%、ブロックRAM部で36%、トランシーバ部で24%、それぞれ節電することに成功し、チップ全体で電力消費を30〜40%削減できるという。
「Kintex-7と同一の消費電力でよければ、Kintex UltraScaleを用いて、より大きな回路ブロックを1チップに集積することができるため、システムの最適化が可能となる。リソースの使用効率もこれまでのFPGA製品だと60〜70%にとどまっていたが、Kintex UltraScaleだとそれを90%まで高めることができる」(説明員)と話す。
会場では、Kintex UltraScaleを搭載した評価キット「KCU105」に、アナログ・デバイセズ製のA-Dコンバータを搭載したFMCカードを実装したJESD204B DSPキットについても紹介した。ワイヤレス通信の基地局装置や医療機器などにおける信号処理用途に向けるという。
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