足かけ20年、SiCパワーデバイス開発のこれまでとこれから:三菱電機 研究開発成果披露会(1/2 ページ)
三菱電機は、SiC(炭化ケイ素)ベースのパワー半導体チップ開発と、それを応用したパワーモジュールおよび製品開発に注力している。SiCパワー半導体の技術革新と実用化で低炭素社会の実現に貢献していく。
開発初期の試作チップ公開
三菱電機は、SiC(炭化ケイ素)ベースのパワー半導体チップ開発と、それを応用したパワーモジュールおよび製品開発に注力している。SiCパワー半導体の技術革新と実用化で低炭素社会の実現に貢献していく方針だ。
SiCをベースとするトランジスタやダイオードは、材料の特性から、シリコンベースの一般的な半導体チップに比べて、高耐圧で電力損失を大幅に低減させることができるとともに、高速スイッチング動作が可能、高温動作が可能、放熱特性に優れる、といった特長がある。三菱電機は、20年も前から次世代技術としてSiCパワー半導体の開発を行ってきた。2015年2月に開催された研究開発成果披露会では、SiCパワー半導体およびモジュールなどを開発してきた歴史と今後の展望などを紹介した(関連記事:三菱電機、売上高5兆円に向けた成長戦略の要を披露 )。
鉄道車両や産業機器、ビル設備、家電製品など、パワーエレクトロニクス機器を手掛けてきた三菱電機では、これらの機器に搭載するパワーモジュールやパワー半導体チップも同時に開発してきた。特に、機器の省エネを実現するためにはパワー半導体/モジュールの技術革新が大きなカギを握るといわれている。
1mm角から10mm角へ
そこで三菱電機は、従来のシリコンに代わる新材料としてSiCに注目し、1994年よりSiCの要素技術開発をスタートさせた。開発初期の試作チップは縦型SiC-MOSFETである。チップサイズは1mm角で、定格電圧は1.2kVであった。その後大容量化に取り組み、チップサイズが3mm角のSiC-MOSFETや、5mm角および10mm角のSiC-MOSFET/SiC-SBD(ショットキバリアダイオード)などを開発してきた。さらに、2013年9月には、トレンチ型MOSFETを開発している。オン抵抗のさらなる低減とチップサイズの小型化を可能とする。
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