20nm対応ナノインプリント用テンプレートの年内量産を発表――大日本印刷:プロセス技術
大日本印刷(以下、DNP)は2015年2月19日、20nmレベルの半導体製造プロセスに対応したナノインプリントリソグラフィ(以下、NIL)用のテンプレート(型)の生産体制を構築し2015年にも量産を開始すると発表した。
「他社に先駆けて」(DNP)
大日本印刷(以下、DNP)は2015年2月19日、20nmレベルの半導体製造プロセスに対応したナノインプリントリソグラフィ(以下、NIL)用のテンプレート(型)の生産体制を構築し2015年にも量産を開始すると発表した。NIL用テンプレート売上高として2015年4月〜2017年3月の2年間累計で50億円を目指す。
NILは、シリコンウエハー上に直接テンプレートで型押しして半導体回路パターンを転写する製造方法だ。
複数のフォトマスクを使用して微細加工に対応している光リソグラフィ技術よりも低コストで微細プロセスの半導体を製造できる技術として注目を集めている。例えば、東芝とSKハイニックスの両社は、15nm以降のNAND型フラッシュメモリ製造にNILを導入する方針で、2017年の実用化を目指した共同開発を行うことを決めている(関連記事:東芝とSKハイニックスがナノインプリントを共同開発、15nmプロセス以降に適用)。
その中で、「フォトマスクで世界シェア15%を有する」というDNPは、2003年からフォトマスクに置き換わる可能性のあるNIL用テンプレートの開発に取り組み、このほど「他社に先駆けて20nmレベルのNILテンプレートの生産体制を構築した」(同社)とする。
テンプレートには、マスターテンプレートと、それを原版として作製する複製型(レプリカテンプレート)の2つの種類がある。レプリカテンプレートは、ウエハーに直接型押しするもの。ただ、レプリカテンプレートは消耗が起こるため定期的に交換する必要がある。そこで、レプリカテンプレートを作製するための半導体回路と等倍のマスターテンプレートが不可欠だ。DNPによると「これまでは20nmレベルのマスターテンプレートの製造や、レプリカテンプレートの安定的な作製が困難だった」という。
これに対し、同社は、高解像度描画装置を導入するとともに装置や製造プロセスの材料や条件の見直しを行い、20nmレベルのパターンを形成したマスターテンプレートを製造する技術を確立。またレプリカテンプレートについても、作製時にマスターテンプレートとの接触で発生する異物や異物に伴うパターン欠陥が課題だったが、「徹底した工場のクリーン度の管理、加工環境への異物の持ち込みの排除を実施し、新しい基板洗浄技術の採用によって課題を克服し、プロセス技術を確立した」(同社)とする。
2017年までに15nm対応
DNPでは、「DNP製テンプレートを業界のスタンダードにしていくよう努めるとともに、従来の光リソグラフィ用フォトマスクと、次世代リソグラフィ技術であるNILテンプレートとのハイブリッドな供給体制によって、トータルなリソグラフィソリューションを提供して半導体業界に大きく貢献していく」とし、NIL用テンプレート売上高として2015年4月〜2017年3月の2年間累計で50億円を目指すという。また2017年までに15nm以下のテンプレート製造の実現に向け開発を行う方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 東芝とSKハイニックスがナノインプリントを共同開発、15nmプロセス以降に適用
東芝とSKハイニックスが、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術で共同開発を開始する。NILは、回路パターンが掘られた型(モールド)をシリコンウエハーに直接押し当てて転写するもので、より微細な加工ができると期待されている。今回の共同開発では、15nmプロセス以降の実現を目指すとしている。 - NANDフラッシュ、売価下落も市場規模は拡大――2014年10〜12月
DRAMeXchangeによると、2014年第四半期におけるNAND型フラッシュメモリの世界市場は、全体として好調だったようだ。ただし、価格の下落は続いている。今後、Samsung Electronics(サムスン電子)は3次元NANDフラッシュ、東芝は15nmプロセスへの移行を加速させると見られている。 - ナノインプリント技術を応用、照明用ELパネルの光取り出し効率を改善
JX日鉱日石エネルギーは、ナノインプリント技術を応用した機能性フィルム基板の開発品を展示した。基板上に微細な構造を作り込むことで、LED照明や有機ELパネルなどからの光取り出し効率を高めたり、外光の反射を防止したりすることができる。 - 450mmウエハー対応のリソグラフィ装置、Molecular Imprintsが市場に投入
Molecular Imprintsは、同社のリソグラフィ装置「Imprio 450」が、ある半導体メーカーに採用されたことを明らかにした。同製品は450mmウエハーによる半導体チップの製造に対応しているという。同社は「Imprio 450により、450mmウエハーへの移行を、少なくとも2年は早められる見込みだ」と主張している。 - EUVは本当に実用化できるのか?
半導体製造技術のロードマップでは、193nmリソグラフィに限界が来たら、157nmフォトリソグラフィへと移行するはずだった。しかし、実際に普及したのは193nmの液浸リソグラフィであった。次の技術として名前が挙がるのはEUVだが、「この技術が実際に商業用途で利用されるかどうかは定かではない」と指摘する声がある。