NANDフラッシュ、売価下落も市場規模は拡大――2014年10〜12月:メモリ/ストレージ技術
DRAMeXchangeによると、2014年第四半期におけるNAND型フラッシュメモリの世界市場は、全体として好調だったようだ。ただし、価格の下落は続いている。今後、Samsung Electronics(サムスン電子)は3次元NANDフラッシュ、東芝は15nmプロセスへの移行を加速させると見られている。
台湾の市場調査会社Trendforceの調査部門であるDRAMeXchangeによると、2014年第4四半期におけるNAND型フラッシュメモリの世界売上高は87億5000万米ドルと、前四半期に比べて2%増加した。
サムスン、東芝ともにシェア微減
売上高をメーカー別にみると、トップはSamsung Electronicsで24億4050万米ドル、2位は東芝で19億1490万米ドル、3位のSanDiskは15億8960万米ドルだった。Samsungのシェアは27.9%で、2014年第3四半期の29.7%に比べてシェアをわずかながら落としている。Samsungだけでなく、東芝とSanDiskもシェアが低下した。
ただ、SamsungのNANDフラッシュの出荷数自体は、前四半期比で5%増加している。それにもかかわらず売上高が減少したのは、平均販売価格が10%近く減少したからだと、DRAMeXchangeは分析している。結果として売上高は前四半期比で4.2%減少した。2015年におけるSamsungの出荷数増加率は1桁台の成長とみられているが、ビット換算では、業界の平均成長率である35〜40%を超える見込みだ。SSDの売上高の増加と、3次元NANDフラッシュへの移行が、主な要因である。
東芝は15nmへの移行進める
東芝に関しては、売上高はほぼ横ばいだったが、平均販売価格は前四半期比で7%下落した。これは、為替の影響の他、A19nmプロセスと15nmプロセスを適用したNANDフラッシュの歩留まりの向上にも起因するという。DRAMeXchangeは、「東芝は15nmプロセスへの移行を進め、2015年夏ごろには、量産品の半分が15nmプロセス品になるのではないか」と予想している。東芝は2015年2月5日に、NANDフラッシュにも応用可能な15nm以降のプロセス実現を目指したナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を、SKハイニックスと共同開発すると発表したばかりである(関連記事:東芝とSKハイニックスがナノインプリントを共同開発、15nmプロセス以降に適用)。
DRAMeXchangeのアシスタントバイスプレジデントであるSean Yang氏によれば、2015年第1四半期は、需要の季節的変化により過剰供給が発生する見込みだという。同氏は、価格の下落がより顕著になる中、NANDフラッシュメーカーは、最新技術への移行を加速してコスト構造を立て直し、価格低下の影響を最小限に抑えるべきだと指摘している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2014年7〜9月のNANDフラッシュ市場シェア、東芝がサムスンとの差を縮める
2014年第3四半期のNAND型フラッシュメモリ市場は好調だ。前四半期比で最も成長したのは東芝で、売上高は23%増加している。一方、売上高でトップのSamsung Electronics(サムスン電子)は8%増で、シェアは3割を切った。 - サムスンの3次元NAND、3ビット/セルの128G品が出荷間近
Samsung Electronics(サムスン電子)が2013年に発表した、3次元構造のNANDフラッシュメモリ「V-NAND」。3ビット/セルの128Gビット品を、間もなく出荷する予定だという。2015年には、256Gビット品も発表できるとしている。 - 東芝、15nmプロセス採用NANDメモリの量産を発表「世界初」
東芝は、15nmプロセスを用いた128Gビット容量のNAND型フラッシュメモリ(以下、NANDメモリ)を2014年4月末から量産すると発表した。15nmプロセスを採用したNANDメモリの量産は「世界初」(東芝)としている。 - 東芝、SSD並みの性能を実現する組み込みNANDメモリ用コントローラ開発
東芝は、組み込み式ストレージメモリ標準規格である「JEDEC Universal Flash UFS Version 2.0」などに準拠し、「世界最高速」(同社)というUFSメモリコントローラを開発した。従来コントローラに比べ、ランダムリード性能で約10倍の性能を達成したという。 - 東芝、NANDメモリの新製造棟が完成と同時に、3D NANDに向けた新棟建設に着工
東芝は2014年9月9日、NAND型フラッシュメモリを製造する四日市工場(三重県四日市市)の第5製造棟の第2期分完成を発表するとともに、3次元セル構造のNANDメモリ「3D NAND」の専用製造設備を導入する予定の新製造棟(新・第2製造棟)の起工式を行った。