グラフィックス表示、ゲージ制御、機能安全を1チップで実現、ルネサスの32ビットマイコン:プロセッサ/マイコン
ルネサス エレクトロニクスが発表した車載用32ビットマイコン「RH850/D1xシリーズ」は、今後普及が見込まれるインスツルメント・クラスタ向けに、ゲージ制御、グラフィックス表示と機能安全を1チップで実現している。
ルネサス エレクトロニクスは2015年2月20日、カラー液晶搭載のインスツルメント・クラスタ向けに、車載用32ビットマイコン「RH850/D1xシリーズ」7グループ22品種を開発し、サンプル出荷を開始すると発表した。サンプル価格は、「RH850/D1M2H」が1万円。2016年4月から量産を開始し、2018年4月には月産400万個を計画している。
RH850/D1xシリーズは、ゲージ制御、グラフィックス表示と機能安全を1チップで実現。高品位なカラー液晶表示とシステムコスト削減が可能だという。
BOM/開発コストの低減
3.5MBのRAMを搭載するとともに、RAMの使用量を低減するルネサス独自のグラフィックス表示エンジンを組み合わせて使うことで、外部DRAMを使わずに高精細な液晶表示機能を実現している。さらに、22品種を展開することでソフトウェアの流用性を高め、ソフトウェアの開発期間の短縮を図れる。
内蔵されているグラフィックス描画エンジンにより、WVGA(800×480画素)の液晶パネルに描画できる。このグラフィックス描画エンジンはOpenVG1.1に準拠していて、標準APIをサポートするHMI(Human Machine Interface)開発ツールを導入することで、開発期間を短縮できるという。
加えて、ヘッドアップディスプレイへの表現力と視認性を向上させた。フロントガラスなど曲面を持つディスプレイに合わせて、画像を自動的に任意の形に変形/補正する機能を搭載している。
さらに、機能安全を実現すべく、システムの誤作動を検出する機能や、ギアポジションなど重要な情報が正常に出力されていることを常に監視し、異常が起きた場合でも安全を確保できる表示機能を搭載している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ルネサス、2018年に28nm世代フラッシュマイコンを製品化へ
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2014年2月18日、28nmプロセス対応マイコン内蔵用フラッシュメモリ技術を、「世界で初めて開発した」と発表した。 - クルマよりも規模の大きい“ルネサスの屋台骨・汎用事業”の戦略
ルネサス エレクトロニクスの売上高の約6割は、産業機器/家電/OA機器などの半導体を展開する汎用事業が担う。車載向け半導体事業を上回るビジネス規模を持つ汎用事業を統括する執行役員常務 横田善和氏に事業戦略などについてインタビューした。 - ルネサス、2015年度内にSOTB採用マイコンを製品化へ――消費電力1/10以下、0.4V駆動品も可能に
ルネサス エレクトロニクスは2015年度(2016年3月期)中にも新型トランジスタプロセス技術「薄型BOX-SOI(SOTB:Silicon-on-Thin-Buried Oxide)」を用いたマイコンを製品化する。同技術を用いることで、0.4Vという超低電圧駆動のマイコンが実現できるという。 - ルネサスの最新半導体ソリューション(4)――長期供給期限をWebに明示、産業用・汎用製品の5割を突破
稼働期間が十数年におよぶようなシステムの場合、保守部品の調達は常に大きな懸念点となる。最近は、供給期間をWebサイトなどで明示する半導体メーカーが増えてきた。ルネサス エレクトロニクスは、こうした取り組みを積極的に進めている。 - ルネサスの最新半導体ソリューション(3)――ARMコア「RZファミリ」のリアルタイム向け製品「RZ/T1」
今回は、ハイエンド品である「RZファミリ」に焦点を当てる。RZファミリの特徴としてまず挙げられるのは、ARMの「Cortex」シリーズをCPUコアとして採用している点だろう。