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インタビュー

“日本のピュアファウンドリ”に本気で挑む三重富士通の勝算三重富士通セミコンダクター 社長 八木春良氏(4/4 ページ)

富士通の半導体事業再編の中で2014年末に誕生したファウンドリ専業会社「三重富士通セミコンダクター」。台湾をはじめとした海外勢の独壇場となっている大口径の300mmウエハーによる半導体受託生産市場で、最先端微細加工技術、大きな生産能力を持たない同社はどう生き残って行くのか。同社社長の八木春良氏に聞いた。

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独自技術とフレキシビリティで差異化

EETJ 現状の採算性についてはいかがですか。

八木氏 現状の従業員数は約850人で、うち開発関連人員が約150人。調べれば分かると思うが極めて少ない人数だ。自動化された300mmラインしかもっておらず、多くの人員を必要としないという恵まれた環境ということもあって、効率は良い。これまで、構造改革に取り組んできた成果もあり、ラインの固定費も凝った工夫を施してきたので、効率は良い。

EETJ 稼働率を落としても、利益を上げやすい体制という意味では、フレキシビリティを発揮できる状況が整っていますね。

八木氏 だけれども、どうしても工場を埋めてしまう。何でも、仕事を取ってしまい、自分の首を自分で絞めることになってしまうこともあり得る。

 というのは、われわれはまだ、ファウンドリとしてのオペレーションのプロではないということ。

 これまで、富士通セミコンダクター時代に、TSMCなどファウンドリを利用した経験から、ある程度、ファウンドリのオペレーションの良いところ、悪いところを見てきた。先ほども申した通り、ファウンドリのスタンダードである台湾のモデルを全てマネするべきではないが、スタンダードである台湾のファウンドリから学ぶことは多くある。ピュアファウンドリとしてのマインドに変える必要がある。

ピュアファウンドリとしてのマインドで、生き残る

EETJ 学ぶべきところとは?

八木氏 設計から製造まで全て手掛ける工場運営と、ファウンドリの運営は大きく異なる。ファウンドリにとって、歩留まりを上げて、納期を守ることが利益になる。そこに対して、とてもこだわる。歩留まりを高めるために欠陥率の下げる取り組みを驚くほど徹底的に、集中的に行う。設計から製造までを手掛けてきたこれまでのわれわれは、歩留まりが悪くても(後工程の)試験を厳しくすれば良いというように、他の工程でカバーすることができた。その辺りに違いがあり、見習うべきところは見習わなければならない。

 また技術も、作ったら、作ったきりではなく、常に改善させていくこともこれまでと違うところだ。

EETJ 今後、受注を拡大していく上で、海外顧客からの受注が重要になります。海外での三重富士通セミコンダクターの評判は現状いかがですか。

八木氏 日本企業が、本気でファウンドリをするのかという疑いの目はある。三重富士通セミコンダクターは、これまでと違って完全に独立したファウンドリ企業であり、マインドも違い、ファブも違い、一緒にやっていけるパートナーとしてなり得る企業として積極的にPRしている段階だ。

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