ARMから見た7nm CMOS時代のCPU設計(4):福田昭のデバイス通信(15)(2/2 ページ)
今回は、ロジック設計の変遷をたどっていこう。現在の主流である「スタンダード方式」の他、FPGAに代表される「セミカスタム」などがある。
CPU設計の主役はスタンダードセル
FPGAのシリコンダイ面積が小さくなったとは言っても、不要な論理セルをゼロにすることはできない。シリコン面積の小ささでは、スタンダードセル方式にはとてもかなわない。このため、CPU設計の主流は現在でも、スタンダードセル方式である。当然ながら、ARMのCPUコア設計も、スタンダードセル方式を採用している。
ARMの設計技術者は講演で、代表的な論理ゲートをスタンダードセル方式で具体化したレイアウトのスライドを示した。1つは、CMOSインバータである。スライドでは、左にインバータの論理記号(NOT)、中央にトランジスタ回路、右にシリコンのレイアウトを示した。トランジスタ回路は上から電源配線、pチャンネルMOSトランジスタ、入力端子と出力端子、nチャンネルMOSトランジスタ、そして最下部の接地配線となっている。これを右のレイアウトと比べると、上から下までの関係が、非常に良く似ていることが分かる。レイアウトでも上端に電源配線があり、その下にpMOSトランジスタがあり、中央部に入力端子と出力端子、その下にnチャンネルMOSトランジスタ、下端が接地配線となっている。
もう1つのスライドは、2入力NANDゲートである。左にトランジスタ回路、右にシリコンのレイアウトを示していた。この場合も、トランジスタ回路とレイアウトがよく似ていることが分かる。上端に電源配線があり、中央の入力端子と出力端子を挟んで上部が2個のpMOSトランジスタ、下部が2個のnMOSトランジスタという配置になっている。下端は接地配線である。
(次回に続く)
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