ウェアラブルセンサーとスマホを活用したタクシー運行支援システムを試験運用:センシング技術
東芝情報システムと川崎タクシーは2015年3月、ウェアラブルな生体センサーやスマートフォンを利用したタクシードライバーの健康管理、安全運転支援を行うシステムの試行プロジェクトを実施したと発表した。
東芝情報システムと川崎タクシーは2015年3月、ウェアラブルな生体センサーやスマートフォンを利用したタクシードライバーの健康管理、安全運転支援を行うシステムの試行プロジェクトを実施したと発表した。ドライバーの睡眠状態や走行中の身体データ、走行情報を取得、解析し、適切な運行管理やドライバーへの休憩の推奨などを行い安全なタクシー運転を支援する内容で、2週間の試行プロジェクトを経て、2015年内の事業化を狙うとする。
2週間の期間で試行中
川崎タクシーのドライバー3人を対象に、同年3月半ばから試行プロジェクトを開始した同システムは、東芝情報システムとカーメイトが共同開発した「からだみらい安全運転見守サービス」(開発中)がベースだ。東芝情報システムが開発した生体センサーを活用したドライバーの身体データの取得/解析技術と、カーメイトが開発したスマートフォンを使った走行データの取得/解析技術を使い、各データをクラウドシステムに蓄積。収集したデータから、ドライバーの健康状態などを割り出し、ドライバーの運行管理などに生かす。
具体的には、生体センサーとスマートフォンを使って、
- 乗車前日の睡眠時間、睡眠の質
- 乗車当日の体重、血圧などの情報
- 走行中の生体情報、走行情報(速度や、ハンドル/ブレーキ操作状況など)
を取得する。
薬の飲み忘れなども防ぐ
取得したデータをクラウド環境で処理し、
- ドライバー乗車前の健康状態チェック用のデータ提供
- 走行中の眠気や疲労度を推定し、ドライバーや運行管理者に通知
- 運行管理者に対し、ドライバーの状態、走行場所をリアルタイムに提供
- 走行時のブレーキ頻度や眠気頻度を走行場所別にまとめマップとして提供
といったサービスを行う。
これにより、「常時服用している薬の飲み忘れなどを運行管理者が、乗車前にドライバーに指摘できたり、ブレーキ頻度データから事故が生じやすい場所の特定が行えたりし、未然に事故が防ぎやすくなる」(東芝情報システム)としている。
「試行プロジェクトの実施結果が良好であれば、継続して川崎タクシーで運用を継続し、実証を重ね、2015年内に特定顧客に向けてサービス提供を開始する」としている。
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