実装面積1インチ角の絶縁型DC-DCコンバータ、入力電圧範囲は9〜36V/18〜76V:TECHNO-FRONTIER 2015(2/2 ページ)
TDKは、実装面積がわずか1インチ(2.5cm)角の絶縁型DC-DCコンバータや、DC入力電圧範囲の下限値を80Vまで下げたユニット型電源などを展示した。さらに、電源シリーズの拡大に力を入れる同社は、今後2016年春にかけて発表する予定の各種電源も披露している。
DC入力電圧範囲の下限値を80Vに低減
ユニット型電源のHMSシリーズは、電力プラント制御機器や、無停電電源装置、発電機などの用途に向ける。DC入力電圧範囲が80〜370Vと、下限値を80Vまで引き下げたところが最大の特長となっている。TDKの従来シリーズでは、下限値が90Vだった。DC入力電圧範囲の下限値は「120Vというのが一般的」(TDK)なので、90Vでも低かったのだが、それをさらに10V下げたことになる。同社によると「80Vは、相当低い」という。こちらもCCGシリーズと同様、「バッテリーをなるべく最後まで使えるようにしている」(TDK)。
電源シリーズの拡張へ
TDKは電源分野で新しいシリーズの発表や、従来シリーズの拡張に力を入れる。そこで今回のTECHNO-FRONTIERでは、CCGシリーズ、HMSシリーズなどの新製品以外に、「今後、どのようなシリーズを開発し、発表していくのか」を示すべく、2016年春までに発表する予定の電源も併せて披露した。DINレール取り付け専用電源「DRJシリーズ」(2015年夏に発表予定)、オンボード型のAC-DCスイッチング電源「KWS-Aシリーズ」(秋)、1Uフルラックの絶縁型DC-DCコンバータ「EZAシリーズ」(2016年春)などがある。
TDKによれば、電源は、標準モデルでは市場全体の2〜3割程度しかカバーできない、特殊な市場だという。あとは顧客のニーズに合わせてカスタマイズしていくことになる。そのため、“標準品”として販売するシリーズを拡張すれば、これまで提案しにくかった用途も視野に入れられる可能性がある。顧客側から見れば、標準品を使えればカスタマイズのコストを削減できるメリットも生まれる。TDKが電源シリーズの拡張に力を入れるのは、こうした背景がある。
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