半導体製造技術を生かした薄膜充電池に、待機電力10mW以下のPWMコントローラを国内初公開:TECHNO-FRONTIER 2015(2/2 ページ)
STマイクロエレクトロニクスは、「TECHNO-FRONTIER 2015」(TF2015)で、従来の半導体製造技術を応用して製造可能な充電式固体薄膜電池やスタンバイ消費電力10mW以下のPWMコントローラなど国内初展示となる製品を展示した。
リチウムイオン電池と電気二重層キャパシタの中間
STCH02と同様、国内初展示となったのがSTマイクロ独自の充電式固体薄膜バッテリ「EnFilm」だ。薄さ約0.2mm(220μm)という折り曲げ可能な薄膜充電バッテリで、「電池としての特性は、リチウムイオン電池と電気二重層キャパシタの中間」と説明する。10年間の使用に耐え、充放電サイクルは4000回以上。容量700μAh(サイズ25.7mm角/定格電圧3.9V)で30分の高速充電が行える。放電曲線については、リチウム電池並みとする。
リチウム系固体材料を使い液体材料を一切用いないEnFilmは、「半導体製造技術を応用して製造できる」(同社)とし、量産性に優れている。また、半導体製造技術が応用できる点は、半導体メーカーであるSTマイクロがEnFilmを手掛ける理由でもある。
STマイクロでは、既にEnFilmの専用工場を設け、量産を2014年秋から実施。EnFilmの薄さと漏れ電流の少なさ、高速充電対応といった利点から高機能型クレジットカードに採用される他、バンド部にEnFilmを組み込んだ腕時計なども実用化されているという。
STマイクロ製品だけで構成したスマートシティ
この他、STマイクロはTF2015で、センサーからマイコンなど制御デバイス、無線デバイス、パワーデバイスまでIoT端末に必要な主要部品を1社で手掛ける数少ない半導体メーカーである点を強調。主要部品をSTマイクロ製品で構成した次世代Smart Cityソリューションの展示を行った。
車の位置を測距センサーで検知し、車に近い進行方向の街灯だけを点灯させるスマート照明のデモ。センサーや照明ユニット間の通信はParadox Engineering製メッシュネットワーク対応920MHz帯無線モジュールを使用。同モジュールの主要部品もSTマイクロ製。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 複雑なクロックツリーを簡素化、柔軟な周波数設計が可能に
Integrated Device Technology(IDT)は、「TECHNO-FRONTIER 2015」(2015年5月20〜22日、千葉・幕張メッセ)で、プログラマブルクロックジェネレータやパワーマネジメントICなどを展示した。 - CEATECで人気を集めたセンサー+通信モジュール、IoT向けに製品化――アルプス電気
アルプス電気は、「TECHNO-FRONTIER 2015」(2015年5月20〜22日、千葉・幕張メッセ)で、マイコンと環境センサー、無線通信チップを搭載したモジュールを組み込んだ「IoT Smart Module」を展示した。「CEATEC JAPAN 2014」で同モジュールの引き合いが多かったので、モジュールだけでなく、それを組み込んだ機器として発売しようと決断したという。 - Intelと連携し、DTC+SVM方式のモータードライバを提案
オン・セミコンダクターは、「TECHNO-FRONTIER 2015」(2015年5月20〜22日、千葉・幕張メッセ)で、「GaN FETソリューション」や「DTC(Direct Torque Control)+SVM(Space Vector Modulation)方式によるモータードライバの提案」などを行った。