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IoTは機器が自律してこそ価値がある――自律型IoTソリューションに投資するルネサスの狙いビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)

半導体デバイスやソフトウェアを組み合わせた“ソリューション”の提供に注力するルネサス エレクトロニクス。5月に開催された「第18回 組込みシステム開発技術展」(ESEC2015)でもモノのインターネット向け“ソリューション”を具現化した大規模なデモシステムを披露した。なぜ、ソリューションにこだわるのか。IoT向け製品戦略などとともにインタビューした。

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“自律”にルネサスらしさ

EETJ ESECでのデモシステムの仕上がりはいかがですか。

傳田氏 IoT/M2Mのデモ提案は増えていると思うが、その中で“自律するIoT”“自律するM2M”というように、機器やモノが自律するというレベルで見せることができるデモは数少ないだろう。加えて、今回の当社のデモは、全て“持ち帰ることのできる”自律するIoT/M2Mとして開発した。すなわち、どのシステムも既に製品化したデバイスで構築し、すぐに使えるシステム。ルネサスとして特長が打ち出せたと思う。

EETJ “自律”を重視している理由を教えてください。

傳田氏 機器やセンサーがネットワークに接続されデータをやりとりするだけでなく、そうしたデータを基に、機器が自律して、動くことでIoTやM2Mの価値が生まれる。忘れものがなくなり、機器のスイッチ操作が必要なくなるなどすれば、その分の時間が余裕となってより生活が豊かになる。そうした価値を提供するため、“自律”を意識している。

中央集中管理するための自律、分散

EETJ 工場用のIoT/M2Mソリューションでも“自律”を打ち出しておられます。


「R-INエンジン」のリアルタイム性を分かりやすく伝えるためのデモ装置も展示。ピンポン球の色を見分け選別する速度、正確さが、同エンジン使用時と不使用時で大幅に変わる様子をアピールした (クリックで拡大)

傳田氏 インダストリー4.0の動きに代表されるように、工場の機器はネットワークにつながり、スマートに制御されるようになりつつある。こうしたスマートな制御は、中央で一元的に管理することが重要だが、あらゆる機器のさまざまな情報を全て中央に集中させてしまうと、情報量が多すぎてネットワークが破綻してしまう。

 そこでまず、重要になるのがネットワークの末端に位置する機器の“自律”だと考えている。エンドポイントそれぞれで自律的な処理を行う分散処理を実施し、中央のコントローラは、システム全体の最適化といったより高度な処理に集中できるようになる。

 そうしたエンドポイント機器の自律を実現するデバイスとして開発したのがマイコン「RZ/T1グループ」などの「R-INエンジン」搭載製品だ。

EETJ R-INエンジンとはどのようなものですか。

傳田氏 産業イーサネット通信に必要な機能をハードウェア化したもの。イーサネットアクセラレータに加え、リアルタイムOS(HW-RTOS)もハードウェア化し、ARM Cortex-M3プロセッサコアと一体化している。R-INエンジンにより、産業用プロトコル処理など各種通信処理をCPUに大きな負荷を掛けることなく、高速、リアルタイムに処理できるようになる。

 これまで通信処理に割いていたCPUの能力を、自律制御に使うことができるようになる訳だ。

 加えて、CPUで通信処理を行うよりも、消費電力が抑えられ、リアルタイム性も大きく向上する。

パートナーとともにニーズを集約

EETJ 産業分野は、家電や住設分野よりも、特殊性が強く、1つのソリューションにまとめ上げにくいように思えます。また、大手の産業機器メーカーと連携して製品を作り上げていく方が、ビジネス効率は良いように思えます。


ルネサス エレクトロニクス 産業第一事業部長 傳田明氏

傳田氏 産業分野に限ったことではないが、IoT/M2Mが進展すると機器の種類、すそ野が広がっていく。もちろん大手ユーザーとの連携は引き続き深めていくが、IoTやM2Mの進展で生まれてくる幅広い用途、アプリケーションに対して、すぐに製品化できるというような価値を提供するのがソリューションだと位置付けている。

 産業分野のニーズは多種多様ではあるが、そうしたニーズを的確に捉えていくため、さまざまなパートナーとの連携を深めている。それが現状30社近くのパートナーの参加を得ているR-INコンソーシアムであり、今後メンバーを増やしながらコンソーシアムとして、ニーズに応じたソリューションを生み出していく。こうした活動は、海外へも広げていく。

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