5Gはユーザーの利点見えず、キャリアとメーカーにも“温度差”:ネットワーク技術だけが先行(5/5 ページ)
2020年の実用化が目標とされている5G(第5世代移動通信)だが、いまだに標準規格が決まらない状態が続いている。5Gにおいて最も問題なのは、利用者目線でのメリットを明確に打ち出せていないことだ。さらに、5G導入に対する積極性については、通信事業者(キャリア)とメーカーの間にも“温度差”があるようだ。
5Gで注目したい、キャリアとメーカーの動きは?
佐藤氏は、「メーカーの勢力図は、恐らく変わらない」とみている。メーカーの統廃合についても「ある程度進み切っている」(同氏)としているが、Nokiaが2015年4月にAlcatel-Lucentを買収すると発表したように、今後もまだ統合が行われる可能性はあるという。「ただ、Ericsson、Huawei、Nokiaといった大手が強いのは5Gでも変わらないだろう」(佐藤氏)。
佐藤氏によれば、注目したいのはSamsung Electronicsの動きだという。Wall Street Jounrnalによれば、同社の最新スマートフォン「Galaxy S6」「Galaxy S6 Edge」の出荷数は、2015年4月の発売後3週間で1000万台を超えたという。ただし、これはSamsungが掲げている目標出荷台数を到達するには、だいぶ遅いペースのようだ。前世代の「Galaxy S5」に比べると、売れ行きのペースは鈍い。さらに、東南アジアなどの新興国では、地元メーカーの勢いに押されて不振が続いている。Samsungが5G対応の端末およびネットワーク(基地局)の両面でどのような勝負に出るのかは、注目に値しそうだ。
日本メーカーについては、「5G市場において海外で勝負することは難しい」と、佐藤氏は話す。「3G、4Gで使われている設備の入れ替えが基本になるので、既存で採用されているメーカーの方が圧倒的に強い。既に各国のキャリアに入り込んで、運用保守を行っている海外メーカーの方が、残念ながら優位である」(同氏)。
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