GLOBALFOUNDRIES、22nm FD-SOIプロセスでの製造を2016年に開始か:「ムーアの法則」から抜け出す時?(2/2 ページ)
GLOBALFOUNDRIESは、22nm FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)プロセスの導入について、2016年末の量産開始を目指すという。同社は「28nm FinFETと同程度のコストで、14nm FinFETと同等の性能を実現できる」としている。
技術の移植は?
FD-SOIワークショップには、FD-SOIファウンドリであるSamsung ElectronicsとSTMicroelectronics、GLOBALFOUNDRIESが、3社とも参加した。Samsungでファウンドリ市場担当シニアディレクタを務めるKelvin Low氏は、ファウンドリ間における設計の移植について問われると、「STMicroelectronicsとSamsungの間では、100%の移植が可能だ。STMicroelectronicsのPDK(Process Design Kit)をSamsungに移行しても問題なく機能する」と明言した。
しかし、GLOBALFOUNDRIESの場合は、そうはいかないようだ。Teepe氏は、自社の22nm FD-SOIプロセス技術について、「今回は、直接的な微細化を実現したわけではない。このため、再度実装する必要がある」と述べる。これはつまり、STMicroelectronicsやSamsungから、GLOBALFOUNDRIESの22nmに設計を移行するには、何らかの作業が必要だといういうことだ。Teepe氏は、「FD-SOIプロセスを採用してさえいれば、簡単に22nmに移行することができる」と述べ、移植に関する課題を重視しようとはしなかった。
「ムーアの法則」に代わる新しいルールを
ムーアの法則によれば、半導体チップ開発では、トランジスタのコストを低減しながら集積密度を2倍に高めることができる。しかしGLOBALFOUNDRIESは、この法則はもはや通用しないとみている。Teepe氏は、「微細化すると、性能が上がるがコストも上がる」と述べている。
Teepe氏は、現在の半導体業界は混乱状態にあると指摘する。大型買収は毎月のように発表されている*)。
*)関連記事:さらなる大型買収劇はあり得るのか?――IntelとQualcommの統合の可能性を検証
プレゼンテーションの冒頭、Teepe氏はフランス革命を取り上げた。革命のさなか、フランスの人々は新しい憲法が最終的に秩序を回復できるのかどうか、分からなかった。半導体チップは、恐怖政治に直面しているわけではない。だが、ムーアの法則に取って代わる新しい設計ルールを必要としているのではないか――。Teepe氏は、そのように提言した。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 微細化の限界に挑む、Siと新材料の融合で新たな展望も
半導体製品、特にSi(シリコン)材料を使ったトランジスタの歴史を振り返るとき、「微細化」が重要なキーワードであることは間違いない。微細化に伴って、50年あまりの間にトランジスタの処理性能は劇的に高まり、寸法は小さくなった。ところが、2000 年代に入り、状況が変わってきた。 - ムーアの法則、半数以上が「22nm以降では難しい」――半導体業界リーダー調査
オランダのKPMGが半導体業界のビジネスリーダーを対象に調査したところ、「ムーアの法則の有用性は存続する」と予想しているのは、回答者の1/4で、半数以上が「22nmプロセス以降では、ムーアの法則の存続は難しい」と考えていることが分かった。 - フリースケール買収のNXP、車載半導体で首位ルネサスに肉薄か――世界半導体シェアは7位へ
NXP Semiconductors(以下、NXP)がFreescale Semiconductor(以下、フリースケール)を買収することになった。買収後のNXPの売上高は1兆円を超える規模に達し、世界シェア7位、車載半導体では首位ルネサス エレクトロニクスに匹敵する売り上げ規模となる。 - 東芝、3次元NAND「BiCS」の製品化を発表――サムスン上回る48層構造
東芝は2015年3月26日、「BiCS」と呼ぶ3次元積層構造を用いたNAND型フラッシュメモリ(以下、3D NAND)を開発し、同日サンプル出荷を開始したと発表した。