動作モードはたったの2つ! 低消費電力、使いやすさ、高性能にこだわったCortex-M4F搭載Bluetooth Smart SoC:ワイヤレス Bluetooth Smart(3/3 ページ)
Nordic Semiconductorは、Bluetooth Smart用RF回路とCPUコアなどマイコンの要素を1チップ化したBluetooth Smart SoC「nRF52シリーズ」を発表した。ARM Cortex-M4Fコアを搭載するなど性能を高めた他、ユニークな消費電力低減技術を多く盛り込んだ。
CPUも起動させない
さらに消費電力の大きいCPUコアの動作を最小限に抑える機能も多く盛り込んだ。nRF51シリーズにも搭載したCPUを介さずペリフェラル間でやりとりが行えるPPI(Programmable Peripheral Interconnect)を強化して搭載した。さらに各ペリフェラルには、「EasyDMA」と呼ぶ、CPUを介さずにメモリにアクセスできる機能を搭載した。なおRAMを分割しているため、複数のペリフェラルが同時にRAMへアクセスでき、性能面でも、利点がある機能となっている。
この他、消費電力抑制技術として、オンチップのスイッチングレギュレータとLDOを負荷電流に応じて自動で使い分けるハードウェアを搭載し、複雑なプログラミングなしに内蔵レギュレータの最適化が図れるようになっている。
こうした工夫の結果、消費電流当たりのCoreMark値は90CoreMark/mAで、Ytterdal氏は「競合比2倍の消費電力当たりの性能を実現した」と主張する。
「多くの競合製品が存在するが、nRF52シリーズは210CoreMark以上と、性能面だけでも大きくしのいでいる。DSP機能を持つCortex-M4Fコアを搭載し、多くのシステムで1チップでマイコン機能、Bluetooth Smartを実現できるデバイスであり、nRF51シリーズよりもさらにゲームチェンジャーとなるだろう」と自信を見せる。
nRF52シリーズは、同51シリーズの最大の特長であるSoftDeviceを踏襲。無線部分のスタックと、アプリケーション部が完全に切り離され、スタック部はNordicから無償提供される。nRF52832と同時に提供されるBluetoothスタックは、バージョン4.2対応で、セントラル、オブザーバー、ペリフェラル、ブロードキャスターのマルチロール対応スタックとなっている。最大リンク数は8で、1イベント当たり最大6パケットの高速通信が行えるスタック仕様となっている。
この他、Bluetoothのペアリング用に独自のNFC Aタグを内蔵している。nRF52832のパッケージは3.0×3.2mmサイズのCSPと6mm角サイズ48ピンQFNの2種類がある。量産開始は、2015年12月を予定しているが、既にβ版チップを搭載し、ソフトウェア開発などに着手できるプレビューキットの販売を始めている。
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