近接情報を素早く認識、Wi-Fi Awareが登場:移動中でも屋内でも、すぐにアクセス(2/2 ページ)
Wi-Fi Allianceは、自分の近くにあるWi-Fi対応モバイル端末の近接情報を自動的に発見する新機能「Wi-Fi Aware」を発表した。役立つサービスが見つかると、利用するためのアプリケーションがWi-Fi接続を実行し、電車内などの移動中や、電波の届きにくい屋内でも素早くアクセスすることができる。
電波が届きにくい屋内でも大丈夫
Wi-Fi Awareによって発見された近接情報が、重要であると確認された場合には、Wi-Fi Directや従来のWi-Fiで接続することによって、リッチなコンテンツであっても高速にデータ通信を行うことができる。「センサー情報など小さなデータの交換であれば、Wi-Fi Awareの送受信機能でも十分に対応できる。鉄道の駅やイベント会場など、モバイル端末が高密度に存在する環境や、電波が届きにくい屋内であっても、Wi-Fi Awareは適切に機能する」(Felner氏)と話す。Wi-Fi Awareは、Wi-Fi対応モバイル端末間で双方向通信が可能であることも、GPSなどを使った従来の近接情報認識技術と異なる点である。
Wi-Fi Awareの応用分野として、いくつかの事例も紹介した。例えば、ビデオゲームの対戦相手やLINEのメッセージ相手を探したり、イベント会場で友人を探したり、ビジネスマッチングの相手を探したりすることができる。クラウドシステムを用いずに、画像や映像などのリッチなコンテンツを近隣の人と共有することや、商業店舗が配布しているクーポンなどの情報取得なども可能となる。自らの近接情報を開示するかどうかは、アプリケーションごとに設定することができるという。
BroadcomやIntelなどがWi-Fi Aware認定チップをサポート
Wi-Fi Aware機能を実現するために不可欠となるICチップも、主要な半導体メーカーがサポートを行っている。これまでに、Broadcomの「BCM4358」、Intelの「Dual Band Wireless-AC 7260」、Marvell Technology Groupの「Avastar 88W8897 802.11ac」、Realtekの「RTL8812AE 2×2 a/b/g/n/ac MiniCard」および、MediaTekの「MT 6630」などがWi-Fi Awareの認定を受けている。もちろん、既存のチップセットを用いても、OSをアップデートすればWi-Fi Awareへの対応は可能だ。
さらに、次のステップとしてFelner氏は、OSベンダーによるWi-Fi Awareのネイティブサポートを挙げた。Wi-Fi Awareは、アプリケーションレベルで利用することになるため、OSがWi-Fi Awareを認識する仕組みを用意する必要がある。今のところOSベンダーはその計画を明らかにしてはいないが、個人的な見解としてFelner氏は、「2016年に発売されるスマートフォンの中には、Wi-Fi Aware対応製品が登場するのではないか」との見通しを述べた。
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