要件が増すWi-Fi、IEEE 802.11ahなどが鍵に:無線通信技術
用途が着々と増えているWi-Fi通信だが、それに伴って、接続技術に対する要件も増えている。策定が進むIEEE 802.11ahやIEEE 802.11axなどで、こうしたニーズに応えられるかが、Wi-Fi Allianceの課題となっている。
新興のモノのインターネット(IoT)を含め、広がる用途に向けて、Wi-Fi機器の性能向上や低消費電力化が求められている。そうした中、1999年からWi-Fi機器を認定してきたWi-Fi Allianceは、そのような要求を満たすための課題に直面している。
IoT機器を狙ったIEEE 802.11ah
Wi-Fi Allianceのマーケティング部門でバイスプレジデントを務めるKelly Davis氏は、EE Timesに対し、「機器の用途が拡大するたび、システム全体は複雑さを増す。技術への要件は変化していて、それに追い付くためには、開発の負担も増えていく。さらに、現在認定した機器が、2000年3月(認定業務を開始した時期)に認定した機器とも通信できるようにしなくてはならない」と述べる。
Davis氏によると、Wi-Fi Allianceは、2000年3月に認定した機器への下位互換性を確実にするための認定プログラムを導入しているという。新たな規格であるIEEE 802.11ahは、低消費電力かつ伝送距離の長い通信を、より小さなチップで実現できる見込みだ。802.11ahは、IoT機器や、ボタン電池で動く機器をターゲットとしていて、策定完了は2016年になる予定だ(関連記事:サブギガ版Wi-Fi「IEEE 802.11ah」、2015年実用化へ)。
一方、ベンダーは独自にIEEE 802.11axのテストを行っている。この規格は、ネットワーク効率化のメカニズムが追加されたもので、消費電力を改善する。
Wi-Fi Allianceは、通信事業者が今後、接続エリアの拡大やデータオフロードの提供、プロバイダ間のローミングを実現すべく、Wi-Fiの大規模な導入に投資すると見込んでいる。ネットワーク効率を向上し、ローミングをサポートするため、Wi-Fi Allianceは自動的なネットワーク認証プロトコル「Wi-Fi CERTIFIED Passpoint」を2012年にリリースした。Davis氏によると、Time Warnerなどのケーブル会社や通信事業者が同プロトコルを導入し始めているという。Passpointは携帯電話機の認証情報を用いて、通信事業者間のWi-Fiローミングをサポートする。
60GHz帯の利用も
Wi-Fi Allianceは、WiGigとともに、Wi-Fi性能を強化すべく60GHz帯の認定プログラムを開発中だ。60GHz帯の最適な用途はまだ定まっていないが、一部の企業はセルラーネットワークのバックホール向けに用いている他、一般世帯やオフィスで有線通信の代替技術として用いている使われることも想定しているという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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