業績低迷にあえぐQualcomm、4700人を解雇へ:モバイルプロセッサの王者もついに(2/2 ページ)
Qualcommが苦戦している。少し前までは絶好調だったはずのスマートフォン市場での業績は、大幅に低下した。これを受け、同社は構造改革の一環として、全従業員の15%を削減するという。これは、約4700人に相当する。
四半期業績も大幅に低迷
同社は7月22日に、2015年度第3四半期(4〜6月期)の決算を発表した。売上高は58億米ドルで、前年同期比で10億米ドルの減少、前期比で11億米ドルの減少となっている。利益は12億米ドルと、前年同期に比べて47%と大幅減となった。ただし同社は、これは「想定の範囲内」としている。
スマートフォン市場の成長が鈍化していることから、Qualcommは第4四半期(7〜9月期)の売上高も、前年同期比で15〜30%減となる47億〜57億米ドルになると予測している。
これほど大きな減少は、スマートフォン市場が著しい成長を遂げていた時代に“モバイルプロセッサ市場の王者”としてもてはやされていた同社にとっては、初めての深刻な事態だろう。
Qualcommは売上高減少の理由として、ライセンス支払い料の減少や、在庫の不足に加え、Samsung Electronicsのような顧客企業からハイエンドチップの需要が減ったことや、中国での売上高が予想よりも低かったことを挙げている。
ただ、QualcommのCEOであるSteve Mollenkopf氏は、「モバイル分野は、まだ利益を出せる魅力的な市場だとみている」と話している。同社は、2015年末までには、モバイル業界がいくらか回復し、中国との関係もよくなっているとしている。同社は中国で、LTE向け通信チップを発表する予定だとしている。
Mollenkopf氏は、「Qualcommは、今日よりも明日を見据える」と述べている。コストを削減しながらも、研究開発には年間で40億米ドルを投資する予定だ。
データセンターが狙い目?
Forward ConceptsのプレジデントであるWill Strauss氏は、「Qualcommはぎりぎりまでコストを削減し、MediaTekが参入しているような、ホワイトボックス市場に向けてチップを販売するのではないか。ローエンド市場を狙うとともに、ハイエンド向けチップの売り上げも、可能な限り伸ばしていくだろう」と述べている。さらに、Qualcommが次に狙う市場としてはデータセンサーが期待できるのではないかとしている。
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