ドローンには専用周波数帯が必要、専門家が議論:現在は携帯ネットワークで対処しているが(3/3 ページ)
ホワイトハウス敷地内にドローンが墜落したり、ドローンに銃を取り付けて発砲したりと、米国ではドローンに関連するトラブルが多く取り沙汰されている。専門家たちは、ドローンを制御するためには、いずれは専用の周波数帯が必要になるだろうとしている。
Wi-Fiとの競争は?
ドローン専用の周波数帯を設ける、というのは理解できる。では、Wi-Fiと競合しないのだろうか。Williams氏は「競合はしないだろう」とみているが、ParrotのLevy氏は、ドローンメーカーにとっては、5GHz帯を使うというのはあまりよいニュースではないという。こうしたメーカーは、コスト削減のために、スマートフォンに搭載されているような標準的な部品を使っていることが多いからだ。もしFAAがドローン専用の周波数帯を割り当てれば、ドローンメーカーは、安価なWi-Fiチップを使えなくなる。
Radio Showの間、Williams氏は、なぜ既存の携帯ネットワークがドローンでの通信にとって理想的ではないのかを、何度も述べた。「既存の携帯ネットワークインフラでドローンを制御しようとすると、いくつもの問題がある。アンテナが上空ではなく地上を向いていること、高速な通信が常に可能ではないこと、信頼性に欠けることなどだ」(同氏)。
こうしたネットワークの問題に、ドローンのユーザーたちも懸念を示している。Qualcommでエンジニアリングディレクタを務めるChad Sweet氏は、「田舎では、ドローンの飛行高度が高いほど、通信状況はよくなる。ただ、既存のネットワークに頼るのは“その場しのぎ”にしかならないだろう。ドローン専用のネットワークがあった方がよい」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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