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部屋を丸ごとデジタル化? 富士通のUI技術を体験スマホ画面を投影して、壁や机がタッチパネルに(3/3 ページ)

富士通研究所、富士通デザイン、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリは2015年7月、部屋全体をデジタル化するUI技術を検証する実証実験を行うと発表した。複数の人の端末の画面を同じ空間で共有、操作でき、会議やワークショップなどで効率的な情報共有とコミュニケーションの活性化が可能になるという。説明会では同技術を活用したデモが行われたので、その様子を紹介する。

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独自に開発されたセンシング技術

 参加者のモバイル端末と設置された機器を連携するときは、独自に開発されたユーザーが持つモバイル端末の位置とIDを同時に検出できるセンシング技術が用いられている。

 正確な位置は分かるが端末IDを特定できない環境センサーと、端末IDは分かるが位置を把握できないモバイル端末内にある慣性センサーの情報をひも付けることで実現した。特定のモバイル端末の画像を共有・表示することが可能になる。

 モバイル端末の画面が壁や机に表示されているときは、他の人でも端末の操作が可能になるので、セキュリティ面での不安は残る。しかし、「壁や机に画面を表示できるのは端末とひも付けられている人だけで、表示されているときは所有者がその場にいることが前提となるためセキュリティに問題はないと考えている」(同社)という。

センシング技術で参加者の動きを追跡(左)/IDが特定されると色が変化する(右) (クリックで拡大)
会場上部に取り付けられた環境センサー(左)/スマートフォンの画面が机に表示される!(右) (クリックで拡大)

デジタル化することによるメリット

 「このような大掛かりな技術を使わなくても、今までのワークショップの手法では駄目なの?」という声もあるだろう。同社は、「ワークショップや会議などで出される多くのアイデアを、アナログで広げて議論するのは厳しくなっている。デジタル化することで、1つのアイデアを選んだときに、それに関連し、ひも付いているアイデアが出るようになれば、恐らく創造性は数倍にあがるのではないだろうか」と語る。

 デジタル化することによるメリットは他にもあるという。1つ目は、デジタル化することで議論を交わした場を再現できるので、ワークショップや会議の続きを行えることだ。2つ目は、そのデータを参加者全員に容易に共有できるという利便性である。

 同技術は2015年8月より、HAB-YU platformで開催されるワークショップに導入し、2016年3月をめどに検証を行う。検証は参加者のモバイル端末を利用するのではなく、貸し出される端末を使用する。今後は、全ての端末への対応、持ち運びができるような小型化の実現、遠隔にいる人と一緒に作業ができる技術などを検討しているという。

 同技術は、企業の会議室や学校の教室、ショールームなどに展開を予定。実証実験を重ね、2016年度中にハードウェアを含めた形で発売できるように計画しているという。

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