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補助人工心臓に5G向けMIMO、NIが活用事例を披露:「NIWeek 2015」(2/2 ページ)
National Instruments(NI)のテクニカルカンファレンス「NIWeek 2015」が、米国で開催されている。1日目の基調講演では、補助人工心臓や5G通信向けのFD(Full Dimension)-MIMOなど、NI製品を使用した数多くの事例に関心が集まった。
5G向けFD-MIMO、Samsungがデモ
無線通信技術では、Samsung ElectronicsがFD-MIMO(Full Dimension MIMO)のデモを披露した。FD-MIMOは、3次元でビームフォーミングを行うもの。Samsungが開発した基地局と、NIのSDR(Software Defined Radio)ハードウェア「NI USRP-2953R」4台で構成されている。USRP-2953Rを端末に見立てて、基地局から4台それぞれのアンテナに電波を送り、スループットなどを確認する。デモでは、3.5GHz帯を使用していた(USRP-2953Rの対応周波数帯は、1.2GHz〜6GHzとなている)。なお、Samsungは、3.5GHzの他、28GHz帯のミリ波帯を使う無線通信についても開発を進めている。
NIは、LTEや無線LANのスタックを自由に変更できる商用のライブラリ「LabVIEW Communications System Design Suite」を2014年12月に発表している。同ライブラリとUSRP-2953RなどのSDRハードウェアを組み合わせることで、次世代無線通信システムの試作を短時間で行えるとしている。
左=Samsung Electronicsが開発したFD-MIMO向け基地局 / 中央=端末に見立てたSDRハードウェア「NI USRP-2953R」(白い機器) / 右=解析画面の一例。スループットなどが表示されている(クリックで拡大)
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