海外の鉄道会社が東芝の高効率モーターを採用へ:シンガポールSMRTのC651系車両
東芝は2015年8月、シンガポールの鉄道事業者であるSMRT(エス・エム・アール・ティ)のC651系車両に、同社の永久磁石同期モーター(PMSM)を用いた駆動システムが採用されたと発表した。
「全密閉・自冷式」の冷却方式が可能
東芝は2015年8月、シンガポールの鉄道事業者であるSMRT(エス・エム・アール・ティ)のC651系車両に、同社の永久磁石同期モーター(以下、PMSM)を用いた駆動システムが採用されたと発表した。
PMSMは、回転子に永久磁石を用いることにより、97%以上の高いエネルギー効率を達成。モーター内部の発熱量が減ることから、モーター内部を密閉し自己放熱によって本体を冷やす「全密閉・自冷式」の冷却方式の採用が可能となる。これにより、騒音の低減やメンテナンスの簡素化が可能になるのだ。
同システムが搭載されるのは、ノース・サウス・ラインと呼ばれるジュロン・イーストからマリーナベイまでの約45kmを結ぶ路線とイースト・ウェスト・ラインと呼ばれるジュークーンからパシリスまでの約57kmを結ぶ路線を走行する更新車両である。
交通システム事業のグローバル展開を
東芝は、2013年7月にSMRTのC151系車両の駆動システムを396車両分受注している。2014年10月は、PMSMのグローバル市場の販売拡大を目的にSMARTの子会社であるSingapore Rail Engineering(シンガポール・レイル・エンジニアリング)と合弁会社「レイルライズ」を設立した。
同システムは2016年にレイルライズへの納入が開始される予定。今後はシンガポールでの実績をもとに、海外の鉄道事業者へ省エネ性能の高い鉄道システムを提案することで、交通システム事業のグローバル展開を加速するとしている。
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