車載用曲面タッチパネル、パナソニックが量産:車内コクピットのデザイン性と操作性を向上
パナソニックは、静電容量方式の曲面タッチパネルの量産を始めた。高い視認性や操作性、信頼性を実現しつつ、車内コクピットのデザイン性も向上できる製品である。
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は2015年8月、静電容量方式の曲面タッチパネルの量産を始めた。高い視認性や操作性、信頼性を実現しつつ、車内コクピットのデザイン性も向上できる製品となっている。
量産を開始した車載用静電容量方式曲面タッチパネルは、樹脂製カバーパネルと高感度フィルムセンサーを一体化している。「射出圧縮成形技術」と「ヒート&クール成形プロセス技術」を開発することで、プラスチック樹脂製カバーパネルを高い精度で形成できるようにした。このため、ガラス製カバーパネルでは困難であった曲面デザインや穴あき成形が可能となった。顧客の要求に基づいて、表示画面の周辺に入力スイッチやボリューム類を実装できるよう、あらかじめ穴あき加工した製品を供給することも可能である。
手袋での操作に対応する感度
手袋を装着した状態でも操作できるよう高い感度を実現している。独自の電極パターン設計とセンシング制御技術を融合して高感度のフィルムセンサーを開発した。マルチタッチ対応も可能である。さらに、ミューチュアルタイプの制御ICと組み合わせることで、ジェスチャ機能を搭載することも可能だ。
車載向けタッチパネルとして要求される高い信頼性と視認性も確保している。樹脂製カバーパネルとフィルムセンサーを積層するために独自の真空貼り合わせ工法を開発した。フィルムセンサーの上下電極間、カバーパネルとセンサー間は、透明な粘着材(OCA:Optical Clear Adhesive)を用いて気泡レスの貼り合わせを実現した。これにより、高い透過性と低反射を達成した。また、防眩、反射防止、防汚などのコーティング処理も施している。
この結果、透過率は88〜90%、反射率(550nm)は6%の光学特性を達成している。耐湿は60℃/93%、耐熱は85℃、耐寒−40℃、熱衝撃は−40〜85℃である。対応するサイズは5〜12インチとなっている。
パナソニックは、車両のコクピットやセンターコンソール、インストルメントパネルの画面表示やカーナビゲーションシステム、ディスプレイオーディオの画面表示などの用途に提案していく。
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