低消費電力と精度の向上を実現した光学式センサー:健康レベルをモニターするウェアラブル機器向け
オスラム オプトセミコンダクターズは2015年8月、脈拍数と血中酸素濃度を測定する光学式センサーの製品ラインアップを拡充したと発表した。健康レベルをモニタリングするスマートウォッチやフィットネス用のアームバンドなどのウェアラブル機器に適しているという。
オスラム オプトセミコンダクターズは2015年8月、脈拍数と血中酸素濃度を測定する光学式センサー「SFH7060」を開発したと発表した。2014年に発表した光学式センサー「SFH7050」の機能を向上させ、低消費電力と精度の向上を実現している。健康レベルをモニタリングするスマートウオッチやフィットネス用のアームバンドなどのウェアラブル機器に適しているという。
異なる波長による吸収量の測定を利用
SFH7060は、緑色LED3個、赤色LED1個、赤外LED1個、エミッターから不透明バリアで光学的に隔離されたフォトダイオード1個を搭載した。計測は肌への光の照射によって行われる。血液と周囲組織では光の吸収量が異なり、吸収されなかった光はディテクターに反射する。異なる波長による吸収量の測定を利用し、脈拍数と血中酸素濃度を決定している。
緑色の光は手首の脈拍数測定に最適であり、SFH7060には高効率のUX:3素子技術に基づいた波長530nmの緑色LEDが3個搭載されている。従来製品と比較してチップあたり電圧3.2Vで高い標準光出力3.4mWを実現し、脈拍数測定を安定させた。
緑色LEDは低消費電力も実現し、デバイスのバッテリー寿命が長くなるという。
血中の酸素濃度は、660nmの赤色光と940nmの赤外光の吸収率の差から算出される。そのため測定精度は、フォトディテクターの信号対ノイズ比達成度と直線性に大きく依存する。SFH7060は受光面1.3mm×1.3mmのフォトダイオードと2つのトランスミッターとの距離を大きくすることで、優れた信号対ノイズ比を実現した。距離が大きくなると、光がディテクターに反射する前により深く皮膚に浸透するためである。
パッケージサイズは縦7.2mmx横2.5mmx高さ0.9mm。同社は、「脈拍数・血中酸素測定を組み合わせた小型のセンサーに対して、機能性を大幅に向上させたやや大きめのバージョンの選択肢ができるようになった」とリリース上で語る。
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