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中国無名企業が驚きのサーバ用ARMプロセッサ専門家から感嘆の声(2/3 ページ)

マイクロプロセッサの国際学会「Hot Chips 27」では、中国の新興企業Phytium Technologyが注目を集めた。同社は、64コアのARMv8プロセッサ「Mars」を発表し、来場者に強い印象を残した。

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ARMも「本物の新興企業」と称賛

 Hot Chipsの主催者側は、これまで名前を聞いたこともなかったPhytium Technologyから論文を提出された時、非常に驚いたようだ。Hot Chipsでは、中国政府/大学などから支援を受けて中国独自のプロセッサ「Godson」を開発する研究チームの論文については、いくつか受領したことがあるという。

 Hot Chipsの主催者であるRalph Wittig氏は、「2015年は、Godson開発チームから全く音沙汰がなかった。Phytium Technologyの論文を受け取った時、ARMが、『Phytium Technologyは本物の新興企業だ』と断言するのを聞いた。Marsの外部メモリモジュールは、IBMの『POWER 8』プロセッサとよく似ていて、主催者側として非常に大きな感銘を受けた」と述べている。

 Phytium Technologyのエンジニアリングマネジャーは、今回なぜか米国ビザを取得することができず、Hot Chipsの会場に来ることができなかった。このため同氏は、中国のオフィスから電話とスライドを使ってプレゼンを行った。

 Phytium Technologyをよく知る人物によると、同社の開発チームはGodsonプロジェクトとは関係がないという。また、同社のオフィスは、2015年8月12日に天津市内で発生した化学物質による爆発事故で、ガラスの破損や金属片による損傷などの被害を受けたそうだ。

ベンチマークテストの結果は

 ベンチマークテスト「SPECcpu2006」のシミュレーションを行った結果、Marsは、64コアチップで整数演算が672、浮動小数点演算585を記録した。ただし観測筋は、「シングルコアのスケーリング性能に関しては、ごく平均的な値だ」と指摘している。

 Marsは8コアパネルで構成されていて、4つのコアで4Mバイトキャッシュを共有している。外部チップを8個備えるため、合計で128MバイトのL3キャッシュと、16チャネルのDDR3-1600をサポートできるという。

 Phytium Technologyの64ビットARMコアは、物理レジスタを192個搭載する。リオーダバッファは、最大160個の命令を保持することができ、パイプライン全体で約210個の命令を実行可能だという。

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Marsは、「Hot Chips 27」で、大きな注目を浴びた

 また、命令ディスパッチ/リタイアを順次行い、アウトオブオーダー実行する。そして、優れた分岐予測機能を利用して、マルチスレッディングを適用するという。

 Marsは、マルチプロセッシングシステム向けにMPI(Message Passing Interface)/OpenMPインタフェースをサポートする。Marsの他にも現在、「Earth」と呼ぶプロセッサの開発を進めていて、既存の大規模なデータセンター向けに特化すべく、さらなる低コスト化と低消費電力化の実現を目指すという。

 Phytium Technologyでリサーチディレクタを務めるCharles Zhang氏は電話の中で、Hot Chipsの参加者たちに向け、「Marsは、世界初の64コアARMv8プロセッサになると確信している。今回、良いスタートを切ることができた。今後数年の間に、さらに強力なCPUを開発するつもりだ」と述べた。

 アナリストたちは、「Marsの最大の欠点の1つは、その大きさだ。このような大型チップで高い歩留まりを実現することは、非常に難しいだろう」と指摘する。

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