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電子機器廃棄物、止まらぬ不正取引欧州でさえ再利用率は低い(2/2 ページ)

欧州では、電子機器廃棄物のリサイクル率は35%だという。WEEE(電気電子廃棄物)指令では、2016年にリサイクル率65%を目指すとしている。だが、電子機器廃棄物の不正取引の防止や、適正管理には困難もつきまとうようだ。

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アフリカを非難できない欧州

 INTERPOLの環境専門家であるIoana Botezatu氏は、EE Timesとの電子メールのやり取りの中で「CWITレポートは、複数の利害関係者の多角的な見解や視点を、1つのメッセージとしてまとめ上げることに初めて成功したといえる。政府の公式な情報源はもちろん、オープンソースの情報も利用することにより、WEEEに関する大規模かつ徹底的な研究を実現している」と述べる。同氏は、CWITプロジェクトのコーディネータも務めている。

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 Botezatsu氏は、「EUの法律は世界で最も厳格だとされてきたが、今回の調査結果から、欧州内で不法取引・不正管理されている電子機器廃棄物の総量は、アフリカのものよりも多いということが明らかになった」と説明する。

 アフリカには電子機器廃棄物が不正に流れ込んでいるといわれてきたが、今回のCWITのリポートによって、そうではないことが分かった。データによれば、欧州で不正に取引されている、または適切に管理されていない電子機器廃棄物は465万トンに上るという。

 結局、廃棄された基板や部品から、貴重な金属や高価な部品をあさり、不正に取引するという行為は、法規制などがまだ整っていない途上国に限らず、どこででも起こり得るのである。

 CWITのリポートにまとめられている数値を、いくつか挙げておこう。

  • 2012年、EU加盟国28カ国と、ノルウェーおよびスウェーデンでは、956万トンの電子機器廃棄物が発生した
  • EUは、そのうち330万トンが回収されて再利用されたと主張した
  • 75万トンは、ゴミとして廃棄された
  • 220万トン(主にスチール)は金属スクラップと混合された
  • 320万トンについては何の記録もない。このうち170万トンはEU内で処理され、150万トンは輸出されたと推測されている。170万トンのうち、95万トンは不正に処理され、75万トンは盗難されたとみられている

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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