PC用と通信用の差が広がるIC市場、その要因は?:2015年 用途別/市場別IC市場予測
IC Insightsは2015年の用途/地域別ICの市場規模予測を発表した。2013年に最大市場だったPC用を超した通信用が、その差を2014年の1.1%から2.7%まで拡大している。IoTやスマート端末の普及が進んでいることから、2つの差は2015年以降も大きくなっていくと考えられる。
米国の市場調査会社IC Insightsは、2015年の用途/地域別ICの市場規模予測を発表した。地域別では、日本を除いたアジア太平洋地域(以下、AP)が、約1737億米ドルで構成比58.9%を占めるという。続いて、北米は約676億米ドルで構成比が22.9%、欧州が約305億米ドルで構成比が10.4%となっている。日本は約230億米ドルで構成比が7.8%と他の地域と比べて少ない。
用途別で見ると、通信用が約1129億米ドルで構成比が38.3%、PC用が約1050億米ドルで構成比が35.6%と大きな割合を占めている。同社によると、「今まで最大市場だったPC用を2013年に通信用が上回り、2015年はその差を2.7%ポイントまで拡大すると予測する」という。2014年の同予測と比較すると、PC用は約1040億米ドルで通信用が約1073億米ドルと差は1.1ポイントであった。IoTやスマート端末の普及が進んでいることから、2つの差は2015年以降も大きくなると考えられる。
- | 金額 | 割合 | 金額 | 割合 | 金額 | 割合 | 金額 | 割合 | 金額 | 割合 | 金額 | 割合 | 金額 | 割合 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
北米 | 86.72 | 2.9 | 41.30 | 1.4 | 233.02 | 7.9 | 35.40 | 1.2 | 265.47 | 9.0 | 14.75 | 0.5 | 676.65 | 22.9 |
欧州 | 14.75 | 0.5 | 72.27 | 2.5 | 85.54 | 2.9 | 44.24 | 1.5 | 85.54 | 2.9 | 29.5 | 0.1 | 305.29 | 10.4 |
日本 | 38.35 | 1.3 | 32.45 | 1.1 | 70.79 | 2.4 | 23.60 | 0.8 | 64.89 | 2.2 | 0.2 | 0.0 | 230.28 | 7.8 |
AP | 193.29 | 6.6 | 69.32 | 2.4 | 660.72 | 22.4 | 94.39 | 3.2 | 713.82 | 24.2 | 5.90 | 0.2 | 1737.43 | 58.9 |
合計 | 333.10 | 11.3 | 215.32 | 7.3 | 1050.08 | 35.6 | 197.63 | 6.7 | 1129.72 | 38.3 | 23.80 | 0.8 | 2949.65 | 100.0 |
APはアジア太平洋地域の略。割合の単位は%。金額の単位は億米ドル 出典:IC Insights |
2016年は自動車用もAPがトップに?
日本は、通信用とPC用の市場が大きく、PC用が約70億米ドルで通信用が約64億米ドルとなっている。政府/軍事用が約2000万米ドルと少ないのが特徴的だ。
全体の構成比が58.9%のAPも、PC用と通信用の構成比が高い。PC用は660億米ドル、通信用は713億米ドルと予測している。APは唯一、政府/軍事用で北米と差がついている。この傾向はしばらく続くと予測されている。
欧州は、自動車用で最も大きい市場となり、72億米ドルである。しかし、APも69億米ドルと差はほとんどない状況だ。中国の自動車市場が成長を続けるので、2016年にはAPが欧州の市場を越すと予測しているという。
IC Insightsは2012〜2018年までの年平均成長率(CAGR)も報告している。最も高いCAGRは、産業用で9.1%だ。通信用が8.2%と続いている。自動車用のCAGRは6.1%と予測されているが、「全体のシェアは2015年の7.2%から大幅に伸びることはなく、8.0%以上にはならないと予測している」(IC Insights)という。
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