Freescale、画像処理IPメーカーを買収:ADAS向け技術開発を加速
Freescale Semiconductorが、画像処理IP(Intellectual Property)を提供するCogniVueを買収したと発表した。ADAS(先進運転支援システム)に欠かせない画像認識・処理技術を手掛けるCogniVueを買収することで、FreescaleのADAS向け技術開発は加速するとみられる。
Freescale Semiconductor(以下、Freescale)は2015年9月10日(米国時間)、画像処理技術を手掛けるカナダのCogniVueを買収したと発表した。
CogniVueは、画像処理向けの並列処理IP(Intellectual Property)を提供していて、Freescaleは2012年に、同IPに関するライセンス契約を締結したと発表した。それ以来、CogniVueの技術は、FreescaleのADAS(先進運転支援システム)向けSoC(System on Chip)において重要な役割を担ってきた。
今回の買収により、FreescaleはADAS市場、そしていずれは自動運転市場をけん引することを目指す。
Freescaleのシャーシ・セーフティ部門(拠点はドイツ・ミュンヘン)でマネジャーを務めるDavide Santo氏は、EE Timesに対し、「安全性は、後回しにはできない要素だ。CogniVueを買収することによって、当社は、これまで培ってきた安全性に関わる技術と連携させながら、画像認識関連のIP(ビジョンIP)を開発できるようになる。これにより、自社内での開発と、セーフティクリティカルなハードウェアおよびソフトウェアの統合をやりやすくなるだろう」と語った。なお、同氏によると、2015年3月に発表されたFreescaleのビジョン・プロセッサ「S32V」にも、CogniVueのビジョンIPが搭載されているという。
買収額などは公表せず
Freescaleは、買収額や、CogniVueから何人の従業員が移ってくるかなどについては公表しないとしている。ただし、CogniVueは、Freescaleの車載向けマイコン部門に統合しやすい、とだけ説明した。
さらにFreescaleは、今回の買収は売り上げの増加を狙うものというよりも、研究開発への投資を重視したものだと強調した。
なお、Santo氏によれば、買収後もCogniVueの製品ロードマップに沿って開発を進めていくという。まだ何かを発表できる段階ではないとしながらも、Santo氏は、CogniVueの画像処理用IPコア「Opus」がアップデートされることを示唆した。
Freescaleにとって、今回の買収における最大の利点は、車載品質を満たすビジョンIPをADAS向けSoCに搭載できるようになることだろう。Santo氏は、「われわれは現在、ISO 26262においてASIL(Automotive Safety Integrity Level) Bに準拠すべく取り組みを進めている。最終的にはASIL C、ASIL Dへの準拠を目指す」と説明した。
なお、NXP Semiconductorsは2015年3月、Freescaleを118億米ドル(約1.4兆円)で買収すると発表しており、この取引は同年下半期に完了する予定だ*)。
*)関連記事:NXPがフリースケールを118億ドルで買収
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