その時、警察は何をしてくれるのか?:実録! ネット詐欺(後編)(5/5 ページ)
インターネット利用詐欺との戦いも、いよいよ最終フェーズを迎えました。「警察に相談する」です。ネット詐欺に遭った場合、果たして警察はどう動いてくれるのでしょうか。実際のところ、警察は“当てになる”のでしょうか。
ネット詐欺被害 報告書
【ネット詐欺被害の報告】
2015年8月5日(水)
江端智一
1. 背景(概要)
ネットサイトから中古パソコンを購入しようとして、ネット運営者と思われるものの指示通りに所定の口座に所定の金額(7680円)を購入したところ、物品が届かず、また、メールの返事はなく、また当該サイトがWebブラウザから見られなくなっていた。
2. 事件の経緯
日時 | 実施事項 | その他 | |
---|---|---|---|
#1 | 2015/7/21 深夜 |
購入希望のパソコンを発見したので、サイトから、氏名、住所、電話番号、メールアドレスを入力した。 | 通常なら、メールの自動応答で即時に返事が戻ってくるが、同日中には返事がなく、不信感はあった(但し、当方のメールサーバが不調であるという懸案もあった) |
#2 | 同上 | 「連絡したメールアドレスが利用できない可能性がある」旨の連絡を、別のメールアドレスから行った | |
#3 | 2015/7/22 12:15 |
口座番号と金額を示すメールが届いた。 | 名義人名が、個人名「カン シュウシン」なるものだったが、個人経営のサイトであると考えた |
#4 | 同15:00 | 入金を完了した旨のメールを送付した。 | 「早く配送して欲しい」旨の要望を記載した |
#5 | 2015/7/23 16:57 |
入金を受領した旨のメールが届いた | 「7日以内に届ける」旨のメセージがついていた |
#6 | 2015/7/24 11:27 |
「着荷」を待っている旨のメールを送信した |
その後、メールの応答なし。
3. 事件の発覚
(1)申し込みから7日を経過した、7月28日夜においても、運送会社からの不在通知なども届いていない為、不審に思い、7月29日朝に、Webサイトをチェックしたところ、サイトおよび、請求明細書のURLにアクセスできなくなっていた。
(2)ネット詐欺であると認識したので、その場で、地元の消費者センター(○○市消費生活センター - 国民生活センター)に電話して、状況を説明して、(a)銀行に連絡して口座を凍結すること、(b)警察に届け出ること、との指示を受けた。
(3)銀行に連絡して、口座番号、入金日などを伝えたところ、既に口座は銀行によって凍結されているが、金額は残っていない旨を告げられる(8月6日修正)7万140円を確保していると教えてもらっている。
(4)現在に至る。
4. 本届出の動機
(1)私の不注意が、本事件の主たる理由であることは、認める
(2)ネットの仕組み上、犯人を特定した上で、交渉を行うことが事実上不可能であることも理解している
(3)しかしながら、このような私の届出が、意味のあるものであるのか否かを知りたいと思うし、このような私の行為が、同様な詐欺事件の抑止力などに成り得るのかを知りたい
(4)過去の事件から、被害の救済を受けることができた事例があれば、差し支えのない範囲で教えて欲しい
(5)上記(3)(4)で教えていただいたことも含めて、本インターネット利用詐欺事件に関する全てを、後日、インターネットで開示する予定である
以上
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Profile
江端智一(えばた ともいち)
日本の大手総合電機メーカーの主任研究員。1991年に入社。「サンマとサバ」を2種類のセンサーだけで判別するという電子レンジの食品自動判別アルゴリズムの発明を皮切りに、エンジン制御からネットワーク監視、無線ネットワーク、屋内GPS、鉄道システムまで幅広い分野の研究開発に携わる。
意外な視点から繰り出される特許発明には定評が高く、特許権に関して強いこだわりを持つ。特に熾烈(しれつ)を極めた海外特許庁との戦いにおいて、審査官を交代させるまで戦い抜いて特許査定を奪取した話は、今なお伝説として「本人」が語り継いでいる。共同研究のために赴任した米国での2年間の生活では、会話の1割の単語だけを拾って残りの9割を推測し、相手の言っている内容を理解しないで会話を強行するという希少な能力を獲得し、凱旋帰国。
私生活においては、辛辣(しんらつ)な切り口で語られるエッセイをWebサイト「こぼれネット」で発表し続け、カルト的なファンから圧倒的な支持を得ている。また週末には、LANを敷設するために自宅の庭に穴を掘り、侵入検知センサーを設置し、24時間体制のホームセキュリティシステムを構築することを趣味としている。このシステムは現在も拡張を続けており、その完成形態は「本人」も知らない。
本連載の内容は、個人の意見および見解であり、所属する組織を代表したものではありません。
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