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A9の性能は? 「ヘイSiri、ヒントをお願い」Apple新型プロセッサの詳細を知りたい

故スティーブ・ジョブズ氏は、端末のプロセッサの性能を明らかにすることよりも、エンドユーザー体験をアピールすることを常に念頭に置いていた。ただ、Appleのプロセッサが高性能なのは誰もが知るところである。「A9」「A9X」の性能を推測する“ヒント”は何だろうか。

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 2015年9月9日(米国時間)に米国カリフォルニア州サンフランシスコで新製品発表会を開催したApple。新型「iPhone」や「iPad」、「Apple TV」などが発表されて話題となったが、重要な要素の1つとして挙げられるのが、プロセッサ「A9」「A9X」の処理能力ではないだろうか。

 A9/A9Xの動作周波数などは明かされていないが、これらAシリーズのプロセッサの優れた性能については誰もが知るところだ*)

*)関連記事:Appleのプロセッサ「Aシリーズ」の系譜

 A9/A9Xの計算速度と、旧世代のAシリーズプロセッサや既存のPCチップの計算速度とを直接比較したり、新機能やソフトウェア機能などを介して間接的にその性能を示したりする場面もあった。前世代のプロセッサ「A8」に比べ、CPU性能は70%、グラフィックスを処理するGPU性能は90%向上したという*)

*)関連記事:「A9」「A9X」は14nm/16nm FinFETを採用?

 しかし、基調講演の中でダイの写真が披露されたのは、今回のイベントが初めてである。その写真は、A9のダイにモーションコプロセッサ「M9」が組み込まれていることを示す際に提示された。

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Appleが発表会で提示したスライド。「A9」内部の写真である

 「iPhone 5s」に指紋認証センサーが搭載された時も、今回と同じようなことが起こっている。指紋データがダイ上に残ることを示す図の中に、パッケージ写真が使われていたのだ。今回、誰もがA9ダイに引き付けられたのではないだろうか。

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今回、コプロセッサの「M9」は、従来とは異なり、A9の中に組み込まれた 出典:Apple

 以下に、具体例を取り上げていきたい。

 まず、処理能力の重要性を示す最適な例として挙げられるのが「iPad Pro」だろう。560万画素の12.9型「Retinaディスプレイ」を搭載したものだ。“560万画素”という数字だけでも、高い性能を備えたGPUが搭載されていることが分かる。

 Appleは、「iMac Retina 5Kディスプレイモデル」と同様に、専用のディスプレイコントロールチップを開発したことを明らかにした。iPad Proはマルチタスクに対応していることから、CPUについても高性能であることは示されている。iPadの従来機種については、マルチタスクができないことなどが、常に議論のテーマとなっていた。マルチタスク対応の遅れは、Appleの性能要件に対してプロセッサの処理能力が不十分であるためとされてきた。Appleは今回のイベントで、A9Xが「デスクトップPCレベルの性能」であることを、繰り返し主張していた。

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「iPad」のCPU性能・GPU性能の比較(クリックで拡大) 出典:Apple

 iPhone 6sとiPad Proでは、最新の「iMovie」を使って、4Kの解像度で動画を編集できるようになっている。これだけでも、A9/A9Xがいかに高性能なのかが分かるはずだ。

 Appleは、動作周波数などプロセッサの詳細を公表することには、あまり積極的ではない。故スティーブ・ジョブズ氏は、しばしば、エンドユーザー体験が最も重要だというメッセージを発信していた。だがこのメッセージは、ここにきて少しだけ変わってきている。Appleの、A9に対する誇りが、少しだけ伝わってきたように筆者は感じたのである。

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