Google、プロジェクト「Aura」を始動:競合からエンジニアを引き抜きつつ
スマートグラス「Google Glass」の販売を中止したGoogleは、それに代わる新たな開発プロジェクト「Project Aura, Glass and Beyond」を始動させた。プロジェクト開始にあたっては、競合のAmazonからエンジニアを引き抜いたとされる。
Googleをはじめとするシリコンバレーの大手数社は数週間前、技術系巨大企業間での従業員の“引き抜き”を禁止する約10年に及ぶ秘密協定が、従業員の移動を阻害したとして、労働者側に4億米ドル超の和解金の支払うことで合意したばかりだ。そうした中で、GoogleはヘッドハンターのJessica Bailow氏を常勤で雇い入れ、新たなウェアラブル端末開発プロジェクト「Project Aura, Glass and Beyond」向けにシリコンバレーで人材を引き抜くという動きを見せている。
Amazon傘下のLab 126から3人
Googleは既にProject Aura向けに、競合先であるAmazon傘下の研究開発企業「Lab 126」から少なくとも3人のエンジニア(ソフトウェア開発部門マネージャーのDima Svetlov氏、同部門ディレクターのAmir Frenke氏、テクニカルプログラム管理部門マネージャーのTina Chen氏)を引き抜いた。Lab 126の「126」はAmazonのロゴに用いられたアルファベットに由来するが(Amazonのロゴではaからzに向かって矢印が描かれており、「a」がアルファベットの1番目の文字、「z」が26番目の文字であることから、社名に「126」という数字を用いている)、皮肉なことにGoogleの新しい持ち株会社の名称も「Alphabet」である。
Project AuraはAlphabetではなくGoogleに付随するプロジェクトであり、当面は2014年にGoogle Glass部門トップに就任したIvy Ross氏が率いる見込みだ。同部門の他のメンバーもProject Auraへ転属となった。新しい子会社は、AmazonのLab 126の3人に加え、さらに多くのエンジニアを外部から引き抜こうとしている。その証拠に、2015年9月14日以降、GoogleのウェブサイトにはProject Aura向けの求人が30件掲載されている。
Project Auraはウェアラブルやモノのインターネット(IoT)関連の他のプロジェクトと連動するようになると伝えられている。そのようなプロジェクトの例として「Google Cardboard」がある。Google Cardboardは無料の仮想現実ゴーグルで、スマートフォンと併せて使うと3Dゴーグル用コンテンツを視聴できる。ゴーグルを1500米ドルで売り出したGoogle Glassプロジェクトとは懸け離れているといえる。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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