部分痩せは可能なのか? (後編):世界を「数字」で回してみよう(20) ダイエット(4/9 ページ)
後編では、「部分痩せ」について、かなり突っ込んだ検証をしてみたいと思います。そもそも、体のある特定の部位だけ、『脂肪の増加方向と減少方向に異なる加速度が生じる』ことがあり得るのでしょうか。今回はこれについて、数字を回しまくってみました。
“スタイルの変化率”を計算する
そこで今回、上記の2つの式を、それぞれ「女優、女性タレント、アイドル=ダイエット達成後の女性」「平均年齢20歳の一般女性=ダイエット開始前の女性」を表しているもの、と考えてみます(個人差は、約300人分のデータで、そこそこ吸収されるでしょう)。
それでは、まず、平均値を見ていきます。
この表から、7kg以上の体重差が確認できます。また、脂肪を大きく蓄えている部位が「ウエスト」と「バスト」であると推認できます。
しかし、注目していただきたいのは、「バスト」の値です。「バスト」には、ほとんど変動が見られません。単純な数値で見る限り、「バスト」は、ダイエットによって最も影響を受けにくい部位のようにも見えます(ただし、このバストの値には、トップバストとアンダーバストの概念が入っていません(後述))。
ですが、今回、私が重要視しているのは、「ダイエット(減少)をすると、胸が小さくなっていくという『事象』」を数値化できるか、ということですので、平均値では、その変化量を知ることができません。
そこで、体重(M)の変化量に対する、バスト(B)、ウエスト(W)、ヒップ(H)の変化 ―― 微分値 ――dB/dM、dW/dM、dH/dMのそれぞれの値を、重回帰分析の説明変数の定数を用いて調べてみました(http://kobore.net/diet-blog-open_5.xlsxの「BWH変化の微分値」タグ参照)
全体として、ダイエット開始前の変化量は、ダイエット達成後の変化量に比べて大きいことが分かります。これは、削ることができる脂肪が多い分、ダイエットの効果が顕著に現われるからです。
さて、ここで、再度、担当Mさんが示した2つのテーゼを見直してみたいと思います。
『ダイエットをすると胸から小さくなっていき、最後にウエストが細くなるのです』
上記の表を見る限り、ダイエットをすると、最初に顕著な数値として現われるのは、ウエスト(“A”の部分)、次いで、ヒップで、バストの変化率(0.57)が一番小さいです。つまり、数値とテーゼが一致していません。
『女性は太る時には、ウエストから大きくなり、足、顔、そして最後にバストが大きくなります』
ダイエット達成状態を最初の状態として、徐々に太っていく状態(いわゆる「リバウンド」)にあっては、バストの変化率(“B”の部分)が一番大きい。つまり、こちらも、数値とテーゼが一致していないのです。
今回の冒頭の「この検討作業に疲れ果てた私」とは、まさに、この時の状態だった私のことでした。
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