ソニー、ベルギーの画像センサーメーカーを買収:カメラだけでなくマシンビジョン分野も狙う
ソニーが、距離画像センサー技術を手掛けるベルギーのSoftkinetic Systems(ソフトキネティックシステムズ)を買収した。センシング技術を、カメラ向けだけでなく、より幅広い分野に展開することが目的だという。
ソニーは2015年10月8日、距離画像センサー技術を手掛けるベルギーSoftkinetic Systems(ソフトキネティックシステムズ)の買収が完了したと発表した。これにより、Softkinetic Systemsはソニーの完全子会社となる。買収額は非公表。
カメラ向け以外への展開が狙い
Softkinetic Systemsは、Time of Flight(ToF)方式を使った距離画像センサー技術を保有する。ToF方式では、光源から出た光が対象物で反射し、センサーに届くまでの光の飛行時間を検出することで対象物までの距離を測定する。ToF方式距離画像センサーは、ToF方式で測距する画素をセンサー上に配置し、とらえた画像から、対象物までの距離が得られるもの。
今後ソニーは、このToF方式距離画像センサー技術を同社のイメージセンサー技術に応用していく。ソニーは、「これまで当社はイメージセンサーを主にカメラ向けに展開してきたが、今後はセンシング技術を測距など、さまざまな分野での測量用にも広げていくことを考えている。現在、距離画像センサーは、掃除用ロボットや産業用ロボット、ゲームや家電操作向けのジェスチャコントロールなどに、主に使われている。ソニーとしても、こうしたマシンビジョン分野向けにもセンサーを展開することを目指していく」と話す。距離画像センサー技術を応用した新しいセンサーは、今後3〜5年かけて開発していく予定だという。
併せて、Softkinetic Systemsが持つToF方式距離画像センサー関連のソフトウェアを活用した製品群も提供していく予定だ。
Softkinetic Systemsはベルギー ブリュッセルと米国カリフォルニア州サニーベールに拠点を持ち、従業員は77人である。
新会社で扱う
なお、ソニーは2015年10月6日、半導体事業の分社化を発表している*)。ソニーによれば、買収により取得したToF方式距離画像センサー技術は、最終的には分社化によって設立される「ソニーセミコンダクタソリューションズ」で扱うことになるという。
*)関連記事:ソニー、半導体事業の分社化を発表
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