アナログに続き、センサーでもリーダーになる:Maxim Integrated CTO Tony Stratakos氏(2/3 ページ)
アナログ半導体メーカーMaxim Integrated(マキシム インテグレーテッド)のCTO(最高技術責任者)に2015年8月に就任したTony Stratakos氏が来日し、EE Times Japanのインタビューに応じた。同氏は「Maximの業界でのリーダー的地位をさらに高めていく」とCTOとしての抱負を語った。
長期ビジョンに基づく研究開発の推進
EETJ 市場環境が目まぐるしく変化する中で、5年の長期ビジョンを遂行することは、リスクになりませんか。
Stratakos氏 5年後、何が求められるか、何が重要かをつかむことは、とても大切だ。技術開発の責任者、CTOとして、先の先の将来を見ていく。
ただし、“普遍的”“真理”といえるような要素は多くある。パワーマネジメント領域で言えば、「高効率」「小型」「高いコストパフォーマンス」「高品質」という要素は、時代や用途を問わず求められることだ。そうした普遍的な技術要求に応えるための、技術基盤を構築するための長期ビジョンであり、大きなリスクを抱えることはないと考えている。
もっとも、技術基盤をベースに開発する製品に関しては、事業部(ビジネスユニット)レベルで、1〜2年程度の短期的なロードマップを作り、市場の変化に即応する体制の敷いている。
EETJ 現在、長期ビジョンに基づき、着手している技術基盤開発のテーマ数はいくつぐらいあるのですか。
Stratakos氏 現状の数は、10件以上あるだろう。パワーマネジメントで数種、アナログ信号処理系やRF、センサー系などだ。
技術基盤は、どんな用途にも応用できる普遍的なものであるべきだろう。できるだけ応用範囲の広い技術基盤にして、開発テーマ数を減らし、リソースを集中させ、より革新的な技術基盤を開発していくことが理想だと考えている。
カギは電源とセンサー
EETJ 今後のビジネスを成功させていくために、特に重要な技術基盤はどういったものだと考えていますか。
Stratakos氏 Maximにとって主力領域の1つであるパワーマネジメント関連の技術基盤は、重要性は変わらない。そして、今後、特に重要になってくるのが、センサー技術だ。小型センサーは、Maximのみならず、業界にとっても、重要な技術になると位置付けている。
EETJ Maximとして、センサー自体の開発を進めていくのですか。
Stratakos氏 既に当社は、オプティカルセンサーのための技術基盤を構築し、いくつかの製品を投入している。既に血中酸素計や脈拍計として、スマートフォンに採用されてもいる。
オプティカルセンサーは、加速度/ジャイロといったモーションセンサーと対を成すような多くの用途を持つセンサーだ。ジェスチャー認識や脈拍測定、ガス/雰囲気センサーなどであり、ヘルスケア/フィットネス分野から、農業や食品、バイオ分野などたくさんの応用アプリケーションがある。いずれも、低コスト、低消費電力、そして小型サイズというニーズは共通するだろう。Maximは、MEMS技術を駆使し、そうしたニーズに応えていく。
センサーでも「リーダーに」
EETJ アナログ半導体メーカーであるMaximにとってセンサー分野は新たな領域となりますが、センサー分野でもリーダーとなるための勝算はありますか。
Stratakos氏 もちろん、ある。半導体同様、センサー分野でもいろいろな用途に転用できる技術基盤/プラットフォームを構築し、1つのプラットフォームでの出荷数量を多く確保することで、競争力を高める方針だ。
先ほどもお話した通り、オプティカルセンサーの技術基盤をベースにした製品は、スマホ向けに採用され、数億個の出荷実績があり、オプティカルセンサー分野では既に先行している。今後、スマホ以外の用途に向けた製品展開やオプティカル以外のセンサー分野での技術基盤構築を進めていくつもりだ。
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