東芝 半導体リストラ、1200人が異動/退職へ:白色LED後発参入も実らず、撤退
東芝は2015年10月28日、CMOSイメージセンサー/白色LED事業からの撤退や人員削減策を盛り込んだ半導体事業の構造改革策を発表した。構造改革の実施により、2017年3月期の半導体事業の固定費を2015年3月期比260億円程度削減するとしている。
1100人がソニーへ、1200人がグループ内再配置ないし早期退職へ
東芝は2015年10月28日、CMOSイメージセンサー/白色LED事業からの撤退や人員削減策を盛り込んだ半導体事業の構造改革策を発表した。構造改革の実施により、2017年3月期の半導体事業の固定費を2015年3月期比260億円程度削減するとしている。
東芝の半導体事業は、主にNAND型フラッシュを手掛けるメモリ事業、システムLSI事業、ディスクリート半導体事業の3事業に分かれる。今回の構造改革の対象は、収益性に苦しむシステムLSI事業(売り上げ規模1779億円[2015年3月期実績])とディスクリート半導体事業(同1548億円[同])の2事業だ。
アナログ、モーター駆動に注力
システムLSI事業では、年間300億円程度の売り上げ規模だったCMOSイメージセンサー事業から撤退する。これに伴い、CMOSイメージセンサーの生産を行っていた大分工場(大分市)300mmウエハー製造ラインをソニーに200億円程度の譲渡額で売却することも決定*)。同ラインおよび、CMOSイメージセンサーの設計などに関わってきた従業員約1100人も、ソニーへ移籍する方向で調整を進めるという。
・関連記事:東芝、大分300mmラインをソニーに譲渡
CMOSイメージセンサーから撤退する一方で、「車載用などのアナログICやモーター制御駆動ICなど市場の成長が見込まれ、技術的優位性が高い分野へ経営資源を集中する」という。これら注力製品の製造を行う大分工場150mm/200mmウエハーラインについては、ソニーへの譲渡対象に含まれず、運営を継続する。その上で、製造子会社の岩手東芝エレクトロニクス(岩手県北上市)と大分工場を一体運営する新会社を2016年4月1日をメドに設立し、効率化を図る方針。新会社では、アナログ半導体を中心とした受託製造ビジネスも実施し、製造ラインの稼働率向上を目指すとしている。
売り上げ伸びなかった白色LED
2015年3月期営業赤字となったディスクリート半導体事業では、2016年3月末までに白色LED事業を終息させる。東芝は、2012年にシリコン基板上にGaN(窒化ガリウム)を結晶成長させ低価格LED素子を実現する「GaN on Silicon技術」を武器にLED市場に後発で参入。2013年には、米国企業から数十億円規模でGaN on Silicon技術関連資産を買収*)するなど積極的な投資を行ったが、2015年3月期売上高は十数億円規模で営業赤字のまま低迷した。なお、同事業撤退に関わる費用は、人員削減策を除き、200億円程度とする。
・関連記事:東芝 GaN on Silicon技術を米社から買収、白色LEDとGaNパワー半導体を強化へ
白色LED事業撤退後、ディスクリート半導体事業は、パワー半導体、光デバイス、小信号デバイス事業を注力領域とし、「早期黒字化を目指す」としている。
東芝は一連の構造改革に伴い、グループ内での人員再配置と早期退職優遇制度を実施する。対象は、システムLSI事業、ディスクリート半導体事業に関連する従業員で、再配置/早期退職の規模は合わせて「1200人程度(ソニーグループに転籍見込みの約1100人は除く)となる見込み」(東芝広報室)としている。
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