WisReed対応通信モジュール、サブGHz帯を利用:IoT機器の開発を容易にするオールインワン型
富士通エレクトロニクスは、組込み機器向けWisReed通信モジュール「MSB1402」の受注を、2015年11月末より開始する。920MHz特定小電力無線帯域を利用したモジュールで、IoT機器用途に適している。
富士通エレクトロニクスは、920MHz特定小電力無線帯域を利用した組込み機器向けWisReed通信モジュール「MSB1402」の受注を2015年11月末より開始すると発表した。ユーザープログラムを同モジュールに搭載することで、比較的容易にIoT(モノのインターネット)機器を実現することができる。
MSB1402は、富士通のスマートネットワーク技術「FUJITSU Intelligent Society Solution WisReed」(以下、WisReed)を用いたオールインワン型の通信モジュールである。2015年8月に発表した「無線センサーネットワーク評価キット」と同じRSIL(Register Synchronization Interface Library)インタフェースを搭載している。このため、評価キットで検証したソフトウェアなどは、今回のWisReed通信モジュールへシームレスに移行することができるという。
MSB1402は、CPUコアとしてARM Cortex-M3を採用した他、A-DコンバータやPWM(Pulse Width Modulation)回路などを搭載している。また、インタフェースは4種類を備えている。WisReed通信方式でデータ送受信を行うための「通信制御用インタフェース」、シリアル通信及びA-Dコンバータ、GPIOなどの制御を行うための「リソース制御用インタフェース」、フラッシュメモリへの書き込みに用いる「ユーティリティインタフェース」、そして外部装置とUARTで接続するための「RSILインタフェース」である。MSB1402のサンプル価格(税別)は8500円である。
なお、特定小電力無線モジュールはローム製の「BP35A1」を採用した。アンテナを内蔵したオールインワンタイプで、受信感度も−103dBm(100kbps、BER<0.1%)と業界トップクラスを実現している。高周波設計に関する十分な知識や経験がなくても容易に導入することが可能となる。
富士通のWisReedは、設定が不要でネットワークを自動で構築することができる。何らかの障害が発生した場合には自己修復するなど、周囲のネットワーク環境に適応できる自律分散型ネットワーク技術である。用途などにもよるが、1台のゲートウェイに対して、1000ノード以上の大規模ネットワーク網を構築することも可能だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- サイプレスが富士通エレとの代理店契約を拡大
Cypress Semiconductorは、富士通エレクトロニクス(FEI)との販売代理店契約を締結し直し、FEIが日本市場で全Cypress製品の販売を開始したと発表した。 - 920MHz無線モジュールで「IoTを手軽に体験」
富士通エレクトロニクスは、富士通のスマートネットワーク技術を搭載した920MHzの特定小電力無線モジュールを開発したと発表した。無線モジュールと評価ツールをセットにした無線センサーネットワーク評価キットを2015年8月末から提供するとしている。 - 新会社“ソシオネクスト”発足――富士通とパナのLSI事業統合が完了
富士通とパナソニックは2015年3月2日、両社のシステムLSIの設計開発部門を統合し、新会社「ソシオネクスト」を発足させ、事業を開始したと発表した。 - “日本のピュアファウンドリ”に本気で挑む三重富士通の勝算
富士通の半導体事業再編の中で2014年末に誕生したファウンドリ専業会社「三重富士通セミコンダクター」。台湾をはじめとした海外勢の独壇場となっている大口径の300mmウエハーによる半導体受託生産市場で、最先端微細加工技術、大きな生産能力を持たない同社はどう生き残って行くのか。同社社長の八木春良氏に聞いた。