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折り曲げ可能なNANDフラッシュメモリ:福田昭のデバイス通信 IEDM 2015プレビュー(8)(3/3 ページ)
カンファレンス2日目に予定されているセッション19〜21の内容を紹介しよう。セッション19では、折り曲げ可能なX線イメージング技術や、折り曲げ可能なNANDフラッシュメモリなど、さまざまなフレキシブルエレクトロニクス技術に関する講演が行われる。折り曲げ可能なNANDフラッシュメモリは、韓国の研究チームが発表するもので、30万回折り曲げた後でも、安定した電気接続を維持したという。
10−9Ωの超低抵抗コンタクト
セッション21(プロセス技術と製造技術)のサブテーマは「最先端のモジュールとFinFET」である。次世代のトランジスタに必要とされる要素技術の研究成果が相次ぐ。
imecとSamsung Electronicsの共同研究グループは、平方センチメートル当たりで1.5×10−9Ωと極めて抵抗値の低いコンタクトを実現した(講演番号21.7)。PドープSiのエピタキシャル層、Geのプレ非晶質化、Tiによるシリサイド技術などを駆使した。PドープSiエピタキシャル層の不純物濃度は2×1021cm−3と極めて高い。
imecとASMの共同研究チームは、Pドープのシリケートガラス(PSG)をバルクSi MOS FinFETの不純物拡散に利用するプロセス技術を発表する(講演番号21.8)。FinFETのフィン側壁部からPSGによってフィン内部に不純物を拡散する。イオン打ち込みによる不純物拡散に比べ、ダメージが無く、しかも均一な拡散層を形成できるとする。ゲート長が30nm〜24nmのFinFETで試したところ、イオン打ち込みに比べてオン電流が20%向上し、オフ電流は変わらず、DIBL特性は向上した。
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