「A9」に秘められたAppleの狙い(後編):製造プロセスの進化もまとめてみた(1/2 ページ)
後編では、Appleの最新プロセッサ「A9」の詳細をもう少し見ていく。特に、Aシリーズに適用されている製造プロセスの進化には、目を見張るものがある。
この画像を見ると、幾つか興味深い点に気付く。その1つは、AppleがA9でもデュアルコアCPUを採用していることだ。Appleは4世代にわたってデュアルコアCPUを採用していることから、この仕様に満足していると考えられる。そう考えると、Appleが特定のタスクやルーチン向けの回路を採用しているという仮説も裏付けられる。特定のハードウェア回路や“ブロック”を採用すれば、CPUの負荷を減らすことができるからだ。A9Xに関しては、A8Xがトリプルコアを採用していることから、コア数が多い可能性もある。
ダイ面積と簡単な注釈を基に、より詳細な情報を読み取ることもできる。下の表は、Aシリーズの情報をまとめたものだ。
A9のCPUの面積は13mm2で、全体の13%を占める。6コアのGPUは27mm2(全体の29%)で、CPUの2倍以上の面積を占めている。
CPUおよびGPUの面積を前世代のAシリーズチップと比較すると、A9のCPUの割合が最も低いことが分かる。一方、GPUは前世代の2つのチップと同じく、29%と過去最大の割合になっている。ただし、前世代チップでGPUが29%を占めているのはA6XとA8Xだけだ。こうした結果から、A9XのGPUの割合も興味深い値になっていると予想される。
筆者はAシリーズのプロセッサに関する記事では常に、CPUとGPU以外のブロックの寸法や数に触れてきた。動作状況を正確に伝えるだけの記事もあるが、筆者はこうした情報を発信する中で、カスタム設計や追加機能、モーションコプロセッサ「M9」などの面積が増え、今までは独立していたダイが統合されるといったことも予想している。A9では、ダイ全体の約57%がCPUとGPU以外の回路に使われている。
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