放送機器/業務用AV機器向けFPGA事業を強化:放送メディア、IPネットワーク伝送にも対応(2/2 ページ)
ザイリンクスは、放送機器や業務用AV機器向けFPGA事業を強化する。最先端FPGA製品や開発環境、自社開発のビデオインタフェースIPなどを用意し、4k/8k映像やVideo over IPなど、あらゆるメディア/ネットワークに対応できるAll Programmableソリューションを提供していく。
ビデオインタフェースIPを自社開発するメリット
同社でオーディオ/ビデオ&ブロードキャスト部門のグローバルセールス&マーケティング担当でディレクタを務めるRamesh Iyer氏は、「SMPTEのコンソーシアムは、当社の社員が議長を務めている。規格の策定から対応チップの開発、さらには相互接続テストや認証テストまで、全て社内で行っている。規格の内容やICチップの特性などすべて理解しており顧客へのサポートは万全である。チップ自体も規格に合わせて最適化している」と、ビデオインタフェースIPを自社開発しているメリットを語る。HDMIやDPなど主要なコンソーシアムにも参加している。
また、「機器側で行っているビデオ処理が、将来的にはクラウド側に移行する。これによって、さまざまな端末を利用して、遅延のない映像をオンデマンドで見ることが可能になる。そのためには、1チップで複数チャンネル分の処理能力を実現できるかが重要だ。この結果、チャンネルあたりの消費電力や部品コスト、実装面積を節減することが可能となる」(Iyer氏)と話す。ザイリンクスは、All Programmableソリューションでこうした市場要求に対応していく方針である。
先端ノードのFPGA製品をきちっと開発
Iyer氏は、FPGA市場における動向などについても触れた。ザイリンクスは、オーディオ/ビデオシステムや無線/有線通信システム、車載システム、産業システムなど、主要な市場に対して最適なFPGA/PLD製品を供給している。同社によれば、2015会計年度(2014年4月〜2015年3月)のFPGA市場における同社シェアは56%となり、2011会計年度の53%に比べて3ポイント上昇した。
Iyer氏は、シェアを拡大できた理由として「先端ノードのFPGA製品をきちっと開発してきた。28nm製品の出荷は、競合メーカーに比べて9カ月先行した。この結果、62%のシェアを獲得することができた。20nm製品については、当初の計画より3カ月も早く出荷することができ、競合メーカーに比べると1年先行した。このため市場シェアも70%となった」と話す。
FPGA製品をより短期間で設計することができ、最大のパフォーマンスを得るための開発環境も充実している。ハードウェア開発者向けには、C++などの言語で記述することができる高位合成(HLS)の設計ツールや、設計のガイドラインとなる設計手法「UltraFast」を提供する。ソフトウェア開発者向けには、All Programmable SoC「Zynq」ファミリ向け開発環境「SD SoC」、データセンターなどにおけるハードウェアアクセラレーションを可能とするプログラミング環境「SD Accel」、通信インフラなどで利用するFPGA向け開発環境「SD Net」などを用意している。
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