高性能A/D変換器の開発成果と本音トークのパネル討論会:福田昭のデバイス通信 ISSCC 2016プレビュー(5)(2/3 ページ)
セッション15では、Analog Devices(ADI)が発表する、入力帯域幅が465MHzと極めて広いΔ-Σ方式のA/D変換器などに注目したい。2016年2月1日と2日の夜に行われる、パネル討論会も興味深い。「無線回路を20nm未満に微細化する必要はあるのか」や、「2000年代の回路設計で最も素晴らしい瞬間」などが討論のテーマだ。パネリストたちの熱い本音トークが聞けることを期待したい。
パネル討論会で回路設計の将来を議論
2月2日(火曜日)の夜と、前日の1日(月曜日)の夜には、「イブニングイベント(EE:Evening Event)」と呼ぶパネル討論会が予定されている。毎晩、2つのパネル討論会が同時に別々の会議室で午後8時から、開催される。
2月1日のイブニングイベントのテーマは、「Class of 2025-Where Will Be the Best Jobs(2025年の講義、最高の仕事はどこにある)」と、「Do We Need to Downscale Our Radios Below 20nm?(無線回路を20nm未満に微細化する必要はあるのか)」である。
前者では、大学や大学院などで学生が受けるべき授業はアナログ回路なのか、それともデジタル回路とソフトウェアなのか、を議論する。そもそもエレクトロニクスを発展させてきたのは主にデジタル回路とソフトウェアなのだが逆にデジタル回路設計者にはそれほどのスキルは必要なく、アナログ回路設計者には高いスキルが必要だと考えられてきた。しかしアナログ設計やRF設計などと、ロジック設計やメモリ設計の違いに関するこの認識には誤りがある。アナログ設計は職人芸的であり、ロジック設計はシステマチックなのだ。学生は今後、どちらを学ぶべきだろうか。回路設計のエキスパート達がこの基本的な問題に挑む。
後者はアナログ回路とRF回路の製造技術であるCMOSを20nm未満に微細化する意義を問う。例えば、微細化に伴う電源電圧の低下はダイナミックレンジの縮小をもたらす。デジタルとアナログの混在チップは微細化のメリットがあるものの、一方で、アナログとデジタルを別々のシリコンダイに分けた2チップ構成が最適だとする考えも根強く存在する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.